ひとりぼっち、仕事なし……。増える「女性SNEP」という人びと

2014年12月31日 12:09

 SNEP(スネップ=Solitary Non-Employed Persons)という言葉をご存知だろうか?この言葉を提唱した東京大学の玄田有史教授によれば、20歳以上59歳以下で、学生でなく、未婚である。さらに 仕事をしていず、普段ずっと一人か一緒にいる人が家族以外にいない。

 以上5つに当てはまる人がSNEPだ。日本語に直訳すれば「孤立無業者」といったところか。ニートと似た概念だが、ニートは35歳以下という定義があり、また求職活動の有無が特徴であるのに対し、SNEPは対人関係の有無に特徴があるといわれる。玄田氏によればニートは女性に比べコミュニケーション能力の低い男性ほどなりやすいと言われているが、SNEPも「男性・中高年・高校中退を含む中学卒ほどなりやすい(玄田氏)」という。ニートはネットやゲームとの親和性が高いとされるが、SNEPにそれはない。そもそもSNEPにはコミュニケーションをとる相手もいないし、調べたいこともない。

 玄田氏が総務省統計局の「社会構造基本調査」を分析したところ、SNEP状態に陥っている男女は2001年の85万人から、2011年の162万人と10年で倍近くにまで増加しているという。

 さて、そんな男性中心のSNEPだが、最近は女性も増えているという事実が衝撃を与えた。きっかけは9月末に放送されたNHKの情報番組「あさイチ」だった。Aさんは新卒で志望企業に就職したものの、実家の父が倒れ、介護のために退職。再就職はなかなか進まず、ストレスから過食になりSNEPになってしまった。Bさんは35歳で離婚した。娘と実家に帰ったが、近所の好奇の目に耐え切れず、新しい人間関係を作ることが怖くなってSNEP状態となり8年が経過してしまった。Bさんはこう話す。

 「人とのつながりがなくて、人に相談することもなかった。追い込まれていくっていうか、思い詰めてしまって。働きたい気持ちはあるが、いざとなるとできない」

 そんな中、商業施設の中にあるハローワークや元SNEPの女性が社会に復帰するために就労体験するカフェなども紹介した。介護や妊娠・出産を機にそれまでの社会生活から放り出されてしまう女性は男性より圧倒的に多い。女性、男性それぞれに適したSNEP救済の社会制度のさまざまな取り組みが試されてしかるべきだろう。(編集担当:久保田雄城)

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