九大、ナノスケールのブルドーザーでDNA分子を制御することに成功
2014年12月30日 16:17
九州大学の坂上貴洋助教らによる研究グループは、ナノスケールのブルドーザー「ナノドーザー」を用いて、微細流路の中に閉じ込められた長鎖DNA分子の動態を制御することに成功した。
遺伝子情報が書き込まれているDNAは、ヒトの場合は数センチメートルにもなり、細胞内での動態を解明することは、生命現象を明らかにする上で非常に重要な意味を持つ。
今回の研究では、全長約56マイクロメートルのT4ファージDNA分子を直径300ナノメートルの微細経路に閉じ込め、光学的に操作可能なビーズでDNA分子を一端から押し動かす「ナノドーザー」を開発した。そして、DNA分子が軸方向に圧縮する特徴的な動態変化を起こすことを初めて実証し、そのメカニズムを定量的に解明することに成功した。
今後は、細胞内でのDNA鎖の動態解明やナノスケールでの物性解明に向けた研究を進めていく予定となっている。
なお、この内容は「Physical Review Letters」オンライン版に掲載された。