ふるさと納税はあくまで寄付 特産品PR方法に政府が苦言
2014年12月30日 15:57
すっかり社会に定着した感のあるふるさと納税。だが政府は2015年度の税制改正で、返礼としての特産品について「対価」と誤解を招くような表記は行わないよう、各自治体にPR方法の自粛を求めていく方針であることを明らかにした。
そもそもふるさと納税は寄付金制度である。少子化や人口流出により、税収が落ち込んでいる地方自治体を支援するための仕組みとして08年から導入された。個人が自分の出身地や特別な思いのある自治体を自由に選択して寄付することができ、2,000円を超える寄付を行った場合は、住民税と所得税が軽減される。さらに自治体から返礼として、その地域の特産品や特典をもらうことができるため、寄付する側にとっても大きなメリットとなる。
寄付なのに特産品などがもらえるということで、お金を支払って商品を購入することと混同しそうになる人も多いのでは。自治体の方でも、ふるさと納税獲得のために贈り物合戦が盛んになってきている。当初は寄付金の5割程度までが返礼品の目安だったが、中には8割にもなるお礼の品も登場。クレジットカードの導入も実施するなど、「お買い物感覚」が増しているのは否めない。
政府はふるさと納税の募集内容に「対価の提供」と誤った表記をしないよう、自治体に自粛要請を行っていく方針だ。同時に、利便性を高めるために納税手続きの簡略化も進めていく。ふるさと納税を行った個人が、税務署に改めて確定申告する手間を省くため、寄付を受け付けた自治体による申請だけで税の管理ができるよう、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を新たに創設する。
ふるさと納税の効果は著しく、長崎県平戸市では本年度の寄付申込金額が10億円を突破。三重県尾鷲市では昨年度より寄付金が約14倍に増え、約9,400万円が集まった。滋賀県の近江八幡市でも前年度比10倍の申し込み件数となるなど、地方自治体にとっては非常にありがたい制度となったようだ。来年度には減税対象の寄付の上限額を倍増させることも計画されており、今後ますますふるさと納税の人気は高まりそうだ。(編集担当:久保田雄城)