増え続ける日本の空き家率13.5% 「空き家バンク」という試み

2014年12月29日 14:04

 空き家問題が顕在化している。管理がなされていないまま不法侵入や放火の原因になることもあれば、周囲の景観も著しく悪化させる。耐久性不足のための災害時に倒壊することもありゴミ屋敷にもなりかねない。

 空き家問題は主に過疎化の進む地方、限界集落などの問題だと考えがちだが、これは地方でも都市部でも同時に進行している。全国の空き家率は約817万戸、総住宅数に占める割合は13.5%である(2013年・総務省統計局)。東京都の総空き家数は約8万2,000戸。対人口比では確かに低いが、世田谷区と大田区の全戸数を上回る大変な数になる。

 なぜ空き家がこれほどまでに増えるのか?まずは税制面がある。古い建物を残しておくくらいなら、更地にすればいいのではと思うかもしれない。しかし住宅を解体して更地にした場合、固定資産税が6倍に跳ね上がるのだ(この法制の原因は戦後の住宅物件増加政策にあると見られる)。次に相続面を見てみよう。

 親が1人で、親元に住んでいない子どもが2人の場合、土地、建物は通常、2人の子供に平等に相続される。しかし相続した家屋を子ども2人で分割して相続しようとしても不可能なので、そのままほったらかしにされて空き家になってしまう場合が多いのだ。他にも行政が空き家問題に対応しようとしても、土地の権利者が分からないなどといった場合もある。

 東京では流入してくる若者に対して、家族向けの物件が多く、そのギャップも空き家問題の根底にあると指摘する人もいる。この難しい問題にとって一つのヒントになるのが「空き家バンク」だ。特に地方に空き家を持っている人、あるいは地方自治体と、都会の住人に多い田舎暮らしや里山暮らしにあこがれている人をマッチングさせるしくみだ。仲介は主にインターネットによって行われる。空き家バンクを運営しているのはNPOや地方自治体などが中心だ。定住奨励制度などを設けている自治体も多い。団塊世代の大量退職が増えている今、田舎志向、里山指向のライフスタイルを希望する人も多い。こういった試みが地域活性化のきっかけになるかどうか期待したい。(編集担当:久保田雄城)

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