秘密保護法施行 知る権利はどうなるのか
2014年12月29日 12:25
2013年12月6日の参院本会議で国家の安全保障に関わる機密情報を漏らした公務員や民間人に罰則を与える法律「特定秘密保護法」が可決され、成立した。その秘密保護法が14年12月10日にいよいよ施行された。しかし、この法案が適正に運営されているかをチェックする第三者機関を行政のメンバーのみで構成するとしていて、完全に公正な立場にある機関であるのかというのは疑問が残る。また、国民の知る権利を害するものではないかという声もあるなどとてもデリケートな法案でありもう一度慎重に考える必要がある。
そもそも秘密保護法の必要性が迫られたきっかけとなるのは10年に起きた尖閣諸島沖漁船衝突映像のインターネット流出が問題化したことであるといわれている。他国間との外交に大きな影響を及ぼすといえる映像を個人が入手し、流出したことはまさに国家の安全を揺るがす問題となった。このことを受けて政府は安全保障に関する情報漏洩に対し重い罰則を課し抑止力とした。
森国務大臣は、「具体的な特定秘密に関しては行政機関が行っている専門的、技術的な行政上の判断を要することから、第三者がそれを取り扱うということは適正ではなく、行政機関が責任を持って管理すべきである」と発言し第三者機関を行政で構成する旨を説明したが、本当に客観的立場に立ち、独立して監査を行えるのかどうかは不安が残る。また知る権利に関しては「法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当業務による行為とするものとする」としている。
しかし、国家レベルの秘密を守るのであれば非常に緊密な管理体制を敷くことが必要である。そのことでは今回の法律はとても重要なものである。憲法学者で東京大学教授の長谷部恭男が「制度の外側から心配しても状況は変わらない。情報を外に出せるルートを作るよう政府と交渉すべき」と語っているように、これから政府と交渉をもち、動き出した法に則って早急に情報を開示できる基準を設けるべきである。
このデリケートな問題に対して国民は真剣に考えるべきである。特定秘密保護法は歩きだしてしまったが今後の国会で改善または停止の動きに持っていくことは可能である。政府は国民の声に常に耳を傾け慎重に判断すべきである。(編集担当:久保田雄城)