東大、生殖細胞の減数分裂を制御するタンパク質を発見 不妊やダウン症の原因解明に期待
2014年12月29日 21:49
東京大学の金智慧(キム・ジヘイ)特任研究員と渡邊嘉典教授らによる研究グループは、マウスを用いた実験で、減数分裂の司令塔因子である染色体タンパク質「マイキン(MEIKIN)」を発見した。
両親の遺伝情報が子供へと伝わる仕組みとして、精子と卵子の染色体がそれぞれ半分に分けられ(減数分裂)、受精すると分けられた染色体が再び合わさることや、この染色体を半分にする過程で異常が起きるとダウン症や不妊の原因になることが知られている。しかし、減数分裂を制御する司令塔因子はこれまで明らかになっていなかった。
今回の研究では、タンパク質の相互作用を酵母細胞を用いて遺伝学的に検出する「ツーハイブリッド法」を用いて司令塔因子を検索したところ、これまで全く機能が分かっていなかった生殖細胞特有の動原体タンパク質「マイキン」を発見した。そして、マイキンの遺伝子を欠損した遺伝子改変マウスを作製したところ、雌雄ともに不妊の症状を示すことが分かった。さらに、生殖細胞の減数分裂過程を詳細に調べたところ、還元分配の特徴である動原体の一方向性および接着の維持がともに欠損していることも明らかになった。
今後は、さらに研究を進めることで、ヒトの不妊やダウン症の原因解明に大きく寄与すると期待されている。
なお、この内容は12月24日に「Nature」電子版に掲載された。