素材表面の「質感」を識別する時の脳のメカニズムが明らかに
2014年12月26日 17:41
自然科学研究機構生理学研究所の小松英彦教授・岡澤剛起研究員らによる研究グループは、様々な素材の表面の「質感」(テクスチャ)を認識している時の脳のメカニズムを明らかにした。
私たちが目にする多くの物体の表面には、様々な固有の「質感」があるが、これまでは視覚入力が脳内でどのように処理されて「質感」の識別が行われているのかが解明されていなかった。
今回の研究では、ヒトと近縁な種であり高度に視覚機能の発達したマカクザルを用いて、様々な素材から得た多数のテクスチャ画像を見せた時の大脳のV4野と呼ばれる領域の神経細胞の応答を調べた。その結果、V4野の神経細胞は特定のテクスチャ画像に選択的に応答することや、これらの細胞応答は「テクスチャ合成」モデルと呼ばれる米国研究者が開発した画像処理の工学的手法で用いられる画像特徴量の組み合わせを使うことで部分的に説明できることが分かった。
今後は、ヒトの脳が「質感」を識別する仕組みをコンピュータ上で再現し、商品や素材の画像に基づく自動品質鑑定やユーザーの希望に合わせた写真の質感加工技術などに応用できると期待されている。
なお、この内容は12月23日に「Proceedings of the National Academy of Sciences」オンライン版に掲載された。