NYの視点:FRBのジレンマ、利上げは緩やか・慎重に

2014年12月25日 07:01


*07:03JST NYの視点:FRBのジレンマ、利上げは緩やか・慎重に

米商務省が昨日発表した7-9月期国内総生産(GDP)確定値は前期比年率5.0%増と2003年7-9月期以降11年ぶりの高い伸びを記録した。個人消費の大幅な伸びが全体指数を押し上げた。個人消費確定値は前期比3.2%増と、速報の2.2%増から上方修正され年初来で最大の伸びを記録。GDPへの寄与度は2.21%と、速報の1.51%からさらに上昇した。要因となったのはヘルスケアで、すなわちオバマケア(医療保険制度改革)に要する費用がGDPを押し上げたことになる。

2015年度の消費をこのペースで維持できるかどうかが懸念材料となる。また、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視している個人消費支出(PCE)のコアデフレーターの11月分は前年比1.4%上昇と、予想外に10月の1.5%上昇から低下。10月分も1.6%上昇から1.5%上昇へ下方修正された。また、FRBがインフレ期待として注視しているミシガン大学消費者信頼感指数の1年や5年のインフレ期待も速報の2.9%からそれぞれ2.8%へ下方修正された。景気の回復や雇用が強さを増す一方でインフレは低迷を継続しており、FRBのジレンマが表面化した。こういった環境下、大半のエコノミストやストラティジストは2015年前半にFRBが利上げを開始すると見ている。しかし、連邦公開市場委員会(FOMC)でも確認された通り、そのペースは慎重でかなり遅くなると見ている。《KO》

関連記事

最新記事