ソニーが中国ゲーム市場に正式参入 復活の主軸担う好調ゲーム事業
2014年12月24日 13:47
ソニーは、2015年1月11日より中国市場で、据え置き型ゲーム機「プレイステーション4(PS4)」と携帯型ゲーム機「プレイステーションVita(PS Vita)」を販売開始すると発表した。上海自由貿易試験区の規制緩和を受け、中国本土でのゲーム機販売14年振りに解禁されたのが理由だ。ソニーは日本ゲームメーカーとして、解禁後初めて公式に中国市場に参入することになる。他にもこの解禁に合わせ、米マイクロソフト社がすでに9月から進出を開始。さらに日本からは任天堂〈7974〉も参入に意欲をみせている。
PS4は13年11月に発売が開始され、販売台数は14年8月にゲーム機史上最速で世界1000万台を突破、9月末時点で1350万台まで伸びている。また、今年は初代プレイステーションの販売から20周年ということもあり、アニバーサリーエディションも販売されるなど、盛り上がりをみせている。中国市場でのPS4の価格は2899元(円換算:約55000円)、PS Vitaは1299元(円換算:約25000円)を予定し、それぞれの日本国内価格39980円と19980円に比べ強気の設定だ。ゲーム機は、発売後の状況を見て中長期で小売価格改定がされることも多いため、高めでスタートし、市場の動きを見て判断していくと考えられる。中国市場では、ゲーム内容の暴力表現規制や海賊版の問題などの課題もあり、そうしたハードルへの対応にも注目したい。
ソニーのゲーム事業中国進出は、同社の再建計画においても非常に重要だ。ゲーム事業は、いまやソニー復活に向けた主軸となりつつある。スマートフォンをはじめとするモバイル事業は苦戦を強いられ、11月末に行われた投資家向け説明会でも、経営数値目標が示せなかった。スマートフォン市場での利益安定化は16年度になる見通しだという。また、構造改革に向け課題となっていたテレビ事業は、やっと14年度4~6月期と7~9月期に黒字に転じたが、まだトンネルを抜けたところだ。14年度7~9月期のソニー売上構成比を見ると、ゲーム・モバイル・テレビ事業はそれぞれ全体の15%前後を占める中核事業となっており、その中で、確実に利益を増やしているゲーム事業の役割は大きい。
中国市場での需要拡大に成功すれば、ゲーム事業のさらなる飛躍は間違いないだろう。そして、それはそのままソニー復活に向けた大きな一歩となる可能性も高い。(編集担当:久保田雄城)