【中国の視点】ロシア:「愛国主義」唱えて海外資金を引き寄せる、ルーブル守りで必死
2014年12月23日 08:50
*08:50JST 【中国の視点】ロシア:「愛国主義」唱えて海外資金を引き寄せる、ルーブル守りで必死
ロシア政府が通貨ルーブルの急落を食い止めるため、金や外貨準備高のほかに、オフショアにあるロシア富豪たちの資産にも目を付けている。プーチン大統領は18日に行った記者会見で、「ロシア人の経営者らが海外にある資産をロシアに持って帰るべきだ」と発言した。
統計によると、オフショアにあるロシア富豪らの資産は約5000億米ドル(約60兆円)になるという。こうした資産はロシア国内に回帰すれば、利上げよりルーブル安の食い止めには効果的だと指摘された。なお、ロシア中央銀行は16日早朝、主要政策金利を10.5%から17%に引き上げたが、ルーブルの急落を食い止められなかった。
第1号となる愛国商人アリシェル・ウスマノフ氏(ロシア第1位の億万長者)は、すでに一部の資産をロシア国内に移動したと報じられた。ただ、中国の専門家は、ウスマノフ氏の行動について、愛国よりも自身の利益を守るためだと指摘。率先して資産を国内に移動した場合、一連の政策優遇を享受できるほか、政府との太いパイプを持つことが可能になるという有利な面があると分析した。また、欧米などによる対露制裁の強化を受け、資産を自国に移動させることが安全だと強調した。
なお、中国の王毅外交部長はこのほど、ロシアが現在の厳しい状況から脱出する能力を持っているとの見方を示したほか、ロシアからの要請があれば、中国ができる範囲内で協力する姿勢を示した。《ZN》