京大、駆除した外来魚を生物透明標本にする技術を開発

2014年12月23日 13:03

 京都大学の豊原治彦准教授・石井健一郎特定研究員らによる研究グループは、外来魚として駆除されたブラックバスやブルーギルなどを利用して生物透明標本を作成する技術を開発した。

 琵琶湖は多くの固有種が生息する極めて重要な水域であるが、外来魚が本来生息している生物を活発に捕食し、生態系へ悪影響を与えると懸念されている。

 今回の研究では、琵琶湖の外来魚駆除対策事業で捕獲されたブラックバスやブルーギルを、教育や研究に役立てられる透明標本にする技術を開発した。これまでの透明標本は作成に多大な労力と時間を要し、値段が高くなるという課題があったが、本研究では外来魚駆除された魚や、増・養殖業の過程で死滅した魚、大学の調査航海等で混獲された魚を利用することで、これまでの半額以下で同等の製品を提供することが可能になった。また、新たに樹脂に封入する技術を開発し、安全かつ利便性の高い標本の作製に成功した。

 研究メンバーは、「骨格透明標本は、本来は研究用に用いられてきた技術ですが、見た目が大変に美しい標本です。私たちはこの技術を利用して、琵琶湖の外来魚駆除対策事業で捕獲されたブラックバスやブルーギルを用いた教育教材・研究用標本を作れないかと考えました。これらの標本を博物館や水族館等にて販売することで、外来魚問題を広く知っていただくと同時に、理科教育教材として理科離れや生物離れが進んでいるとされる昨今の教育状況に対し、少しでも生物に興味を持ち、問題意識を高めるきっかけになればと期待しております」とコメントしている。

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