住宅市場、増税の影響厳しく残る 持家着工戸数28.6%減
2014年12月18日 17:22
国土交通省は11月28日、2014年10月の新設住宅の着工戸数が7万9,171戸だったことを発表した。前年同月と比較して12.3%も減少しており、これで連続8か月、前年同月を下回ったことになる。消費税増税の影響から未だ回復することができていない様子が明らかとなった。
住宅市場は米国のリーマン・ショックの影響を受けた09年に大幅な下落が起こったが、その後緩やかながらも順調に回復しつつあった。しかし、今年4月に消費税が8%に増税され、消費マインドが冷え込んだことで再び大きな打撃が与えられた。4月の住宅着工戸数は7万5,286戸、5月は6万7,791戸、6月は7万5,757戸、7月は7万2,880戸、8月は7万3771戸、9月は7万5,882戸と、いずれも前年同月と比べて約10%程度減少している状態だ。
マンションなどの分譲住宅はようやくプラスに転じて、前年同月比1.6%増となったが、全体的には増税後の反動で住宅着工戸数は減少。販売価格が数千万円となる新設住宅は、増税分だけで100万円前後の負担が増える。消費税増税の影響をもっとも大きくかぶった市場でもあると言えるだろう。
政府は対策として13年9月末までの契約であれば、引き渡しが4月にかかっても消費税5%を適用することを認める特例措置を打ち出していた。住宅購入を予定していた顧客はこれを期に契約を結ぶというケースが増え、増税前の駆け込み需要が膨らんだ。住宅メーカーでは4月以降の反動を解消し、いかに早期回復させるかが課題となっているが、想像以上に消費が冷え込み、増税後半年を過ぎても回復の兆しが見えない。
特に厳しいのが持家(注文住宅)だ。着工戸数は2万4,245戸で、9か月連続の減少、前年同月から実に28.6%減となった。国土交通省は「持家の回復がないと、住宅着工戸数全体での回復とはいえない」との見解を述べている。事業者からのヒアリングでは、大きな買い物となる住宅購入について躊躇する顧客が多く、判断の時期を慎重に検討している姿が大多数のようだ。
10%の増税が見送られた今、住宅市場も回復に期待がかかっているが、景気の先行きが見えないという不安材料は解消されておらず、当面厳しい環境が続くことが予想される。(編集担当:久保田雄城)