東北大、被災地小中生の健康調査 津波経験がアトピーと関連
2014年12月18日 16:30
東北大学、東北メディカル・メガバンク機構は17日、東日本大震災による「居住環境の変化や津波経験が、アトピーの子供や日常生活で何かしらの難しさを抱える子どもを増やしている」とする調査結果を報告した。
この調査結果は、2012年度より宮城県内の小中学生の保護者を対象に行って来たアンケート調査、「地域子ども長期健康調査」をまとめたもの。今年度は6,451人の有効回答があり、3年間累計では1万2,669人が調査に協力した。
その結果、「日常生活で何らかの難しさを抱えて、支援が必要と思われる子ども」は今年度は988人 (3年累計で1,784人 )、「重い症状があるのに治療も診断も受けていない子ども」は、気管支ぜんそくで42人(3年累計で83人)、アトピー性皮膚炎で85人(3年累計で131人)いることがわかったという。
また、居住環境の変化と津波経験の有無は、アトピー性皮膚炎の有症率と、心理尺度「SDQ」(行為、情動、情緒、多動、友人関係の5つで構成される)で有所見となる割合が高いことと関連があった。
調査は、子どもの健康実体を把握して対策を立てることや、心配な点のある子どもへの適切な支援を行なうことなどを目的としている。今年度の支援としては、気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎と診断されているが現在治療を受けていない子どもの保護者に、適切な対処方法に関する資料を送るなどしたという。(記事:町田光・記事一覧を見る)