東南アジアにカツラ市場を開拓 アートネイチャーがマレーシアに進出

2014年12月10日 11:28

 毛髪製品大手のアートネイチャー<7823>は先月、取締役会においてマレーシアに現地法人を設立する決議を行った。クアラルンプール市内に年内にも新店舗を構える予定だという。同社では今後東南アジアにおけるカツラ市場を大きく開拓する方針で、その重要拠点としてシンガポールに続きマレーシアにも販路を広げる。資本金は日本円で約3,500万円、同社子会社のシンガポール現地法人が100%出資する。

 アートネイチャーでは東南アジア攻略に向け、生産拠点も複数の国に跨って展開しており、フィリピンやカンボジアに現地法人を持つ他、中国やベトナムにもOEMによる製品供給元を確保している。

 一方、アートネイチャーと共に毛髪製品業界の双璧を成す大手企業、アデランス<8170>も着々と世界進出をすすめている。同社は2013年に同業のヘアクラブ社を北米にて買収。それに伴い製品の増産体勢確保が急務となり、ラオス南部にて今年新工場を稼動させた。ラオスには海外から進出している工場が少ないため、比較的低い人件費で優秀な人材を確保できるためだ。主要な生産拠点であるタイ工場と共に、日本や北米、欧州へ向けて女性用カツラやオーダーメイド製品を輸出している。

 現在のカツラ市場は実は女性用製品が牽引役となっている。欠点をカバーしたいという男性のニーズと比べ、薄毛や白髪を隠すためだけでなく、オシャレや気分転換のために「ウィッグ」と呼ばれる女性専用のカツラを利用する女性が増えているのだ。矢野経済研究所の調べによると、11年度の毛髪関連の市場規模は全体で約1,330億円だが、男性用の締める割合は年々減少傾向にある。事実、アデランスでも売上の6割は既に女性用が占めている。

 また、カツラ市場の中でも最近注目されているのが「医療用カツラ」の存在だ。手術や投薬のため髪の毛を一時的にでも失ってしまうことは患者の大きな精神的ストレスとなる。そのため、特に女性を中心に治療期間中に限ってカツラをレンタルしたいというニーズが増えているのだ。通常、数十万円するカツラにはなかなか手が出せないが、レンタル出来るとなればグッと身近な存在となる。

 その他、アデランスは損害保険会社と提携し、ガン治療による脱毛を理由にカツラを購入する場合、その費用も保障対象とする斬新な取り組みを開始している。(編集担当:久保田雄城)

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