NYの視点:米国の労働市場に対する見方は分かれる

2014年12月9日 07:02


*07:04JST NYの視点:米国の労働市場に対する見方は分かれる

米国労働省が発表した11月の雇用統計では雇用者数の増加が2012年1月以来の大幅な伸びを記録したほか、9、10月分の雇用も上方修正された。また、イエレンFRB議長が懸念していた賃金もほぼ1年ぶりの大幅な伸びを記録した。不完全雇用率(U6)も5か月連続の低下で、前年同月に比べると13.15%から11.4%まで低下した。この結果を受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)が2015年1-3月期にも利上げを開始するとの見方が強まった。

しかし、賃金の上昇を示す初期の兆候にFRBは過剰に反応するべきではないとの意見もある。賃金の上昇率は多くの労働不参加者が労働に再度参加するようになる水準にはほど遠く、また、ガソリン価格の下落を考えると、現状ではFRBが金融引き締めで経済を鈍化させる必要はないと、一部のエコノミストは指摘している。11月の失業率は5.8%と2008年7月以降6年ぶりの低水準を維持したが、人口に対する失業者の割合は横ばい。

また、労働市場のたるみ(slack)の状況を判断するための新たな指標、米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した労働市場情勢指数(LMCI)は2.9と1月に並び、2012年7月来の低水準にとどまった。労働市場情勢指数(LMCI)は19の雇用関連指数の総合指数となる。含まれるのは以下の19項目。

・失業率
・労働参加率
・経済的理由によるパートタイム労働者の割合
・民間雇用者数
・政府の雇用者数
・派遣の割合
・週平均労働時間
・一人あたりの週平均労働時間
・週平均時給
・求人指数
・採用率
・失業から雇用に転換した割合
・被保険失業率
・5週間未満の失職者数
・退職率(Quits rate)
・5週未満の離職後まだ雇用されていない割合
・コンファレンスボードの消費者信頼感指数で雇用「十分」と「困難」の差
・全米独立企業連盟(NFIB)の雇用計画指数
・全米独立企業連盟(NFIB)の指数で採用の困難さ

年内最後の連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、米労働省が発表する10月JOLT求人件数で米国の労働市場のたるみ状況をさらに判断していくことになる。《KO》

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