電力関連各社が自民党に3228万献金 原発推進政策とカネの関係
2014年12月8日 12:08
11月末に公表された2013年度の政治資金収支報告書から、関西電力<9503>・中国電力<9504>・四国電力<9507>・北陸電力<9505>の関連会社・子会社が福島第一原発事故以降の3年間で、自民党内政治資金団体「国民政治協会」に合計3228万円の献金を行っていたことが分かった。また、この他にも2013年度には、原発メーカー、原発輸出関連企業からの自民党への献金も大幅に増加している。
電力各社は、公益企業として特定政党への献金は自粛するのが建前上のルールとなっている。しかしこれはあくまで建前でしかない。原発を廃止・廃炉にするには、電力各社に大きな負担となり、危険と分かっていても推進したいのが本音だろう。事実、上記4電力会社は原発再稼働に向け、安全審査を原子力規制委員会に申請している。また、電力値上げなどを政策面からも国民に訴える必要性もある。国民の命や生活に関わる重要政策を、企業献金によって左右されるようなことはあってはならないが、今年9月には、法人税の実効税率引き下げをめぐり、経団連が5年ぶりに自民党に献金を再開した例もある。
衆議院選挙が始まり、与党である自民・公明両党はアベノミクスの成功・推進を問うことに議論を絞っている印象が強い。しかし、それ以外にも多くの論点があり、それが隠されてはならない。その中でも考えられなければならない大きな論点の1つに、原発推進の是非を問うエネルギー政策が挙げられるだろう。
知っての通り、自民・公明両党は原発を「ベースロード電源」として位置付け、推進政策をとってきた。川内原発をはじめとした再稼働推進の他、海外への原発輸出にも非常に積極的だ。共同通信社が11月末に衆院選立候補予定者に行った政策アンケート調査によると、原発再稼働について、自民党候補者は賛成が90%、公明党は賛成が79%、一方野党である民主党は反対72%、維新の党は反対90%となっている。この結果からも、与党が原発推進政策に傾いている姿勢がはっきり分かる。
原発再稼働や技術輸出の推進については、福島第一原発での事故後、安全面をめぐり国内でも議論が続いている。各政党だけでなく、国民の間でも推進、廃止に関しては意見が割れている。今夏は原発稼働ゼロで安定した電力供給も行われた。これらの背景からも、自民・公明両党の原発推進政策は拙速に映る部分が大きい。こうした与党の原発推進の裏には、冒頭の電力各社などからの献金も無関係とは言い難いだろう。
政治とカネをめぐる問題は、長年この国の病理となっている。不正献金ではなく、政治資金収支報告書に記載されていれば良いという問題ではない。前述したように、国民の命や生活に関わる重要問題や政策を、企業献金によって左右される可能性があることが問題なのだ。「アベノミクスの是非を問う」という大きな声にごまかされず、そうした部分まで見極めて、国民は投票に臨むべきだろう。(編集担当:久保田雄城)