銀行午後3時までの営業時間見直し迫られる 夕方・夜間のニーズ高く
2014年12月2日 10:32
全国銀行協会が11月20日、銀行の振込みを年中無休の仕組みに整えていく方針を固めたことが明らかとなった。既存システムとは別の新しいシステムを構築する必要があり、年中無休の開始は2018年を予定している。新システムには約50億円の開発費が必要で、全国銀行協会に加盟する大手銀行や地方銀行ら11行で意見交換しながら、今年末までにさらに詳しい内容を決めていきたいとした。
現在銀行の振込み取扱い時間は平日午前9時から午後3時までとなっている。午後3時以降の振込みは翌日扱いとなり、土日祝日を挟むと決済が反映されるまで数日かかってしまう。インターネット通販などでクレジットカードを利用した即時・即日決済が当たり前のように行われている現代において、旧態依然の銀行の営業時間に疑問を感じている人は多いはずだ。海外ではすでに24時間365日態勢の即時決済を導入している国も多く、日本も金融システムの見直しに迫られている。
全国銀行協会は、顧客が現在の営業時間に不足を感じていることを認め、今後、平日の夕方から夜間や、土日祝日での利用を可能にしていきたいとした。当面の対応としては現行の「全国銀行データ通信システム」を利用して、営業時間を延ばしていく方針だ。
全国銀行データ通信システムは1973年に導入されて以来、これまで一度も利用時間の延長など行われてこなかった。平野信行全銀協会長(三菱東京UFJ銀行頭取)は、11月16日に記者会見し、「平日1時間程度の延長であれば現行システムで対応できる」と述べ、2015年から午後4時まで利用時間を延長する見通しにある。しかし夏野剛氏(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授)は「とりあえず1時間延長」という銀行業界の感覚を厳しく批判し、「漫才にもならない」と斬り捨てた。
午後3時に窓口を閉めるのは、小切手や書類などの事務処理や現金処理など、銀行業務を滞りなく進めるためには必要なのかもしれないが、例えばネット銀行などではインターネットバンキングで24時間振込みが可能なところもある。りそなホールディングス<8308>も来年春から、インターネットバンキング利用に限り同グループ内の銀行間で年中無休態勢を取り入れる予定だ。新システム移行に伴い、銀行の業界体制の見直しも進めていく必要を感じる。(編集担当:久保田雄城)