大学新卒の3年離職が32.4% サービス業中心に高い傾向

2014年11月29日 22:16

 厚生労働省は11月7日、新規学卒者の離職状況を発表。2011年3月卒業の大卒者で就職3年以内に離職したのは32.4%だったことが分かった。前年の卒業者と比較すると1.4ポイント増加している。短大卒者では41.2%、高校卒者で39.6%だった。

 離職率が高い理由には、リーマンショックの影響を引きずっていたことで、雇用環境が厳しかったことが挙げられる。希望する会社から内定がもらえず、職種の幅を広げて就職活動を行っていた学生は多い。また、とにかく内定をと急ぐあまり、就業条件に疑問を感じながらも就職し、過重労働を余儀なくされたケースもある。

 厚生労働省は、職のミスマッチと合わせて、近年の景気回復と人手不足の影響を受け、転職のハードルが下がったことから離職を選択する人が多くなったのではと推測している。産業別にみると、「宿泊業、飲食サービス業」が最も高く52.3%、「生活関連サービス業、娯楽業」が48.6%、「教育、学習支援業」が48.5%、「小売業」が39.4%、「医療、福祉」が38.8%、「不動産業、物品賃貸業」、「その他サービス業」がともに38.2%、「学術研究、専門・技術サービス業」が33.5%と、各種サービス業を中心に離職率が高い傾向にある。

 事業所規模別にみると、従業員数が「5人未満」の会社では60.4%、「5~29人」で51.4%、「30~99人」で39.6%、「100~499人」で32.1%、「500~999人」で28.7%、「1,000人以上」で22.8%となっている。会社規模が大きいほど、離職率が少ないことが分かる。

 離職率が高い企業の特徴としては、有給休暇などの福利厚生が不十分なことや、昇給率が低いこと、サービス残業を求めることなどが指摘されている。厚生労働省は離職率を抑えるためにも企業側に対し、採用活動時には十分な情報開示が行われるよう是正を求めていくとしている。いわゆる「ブラック企業」などの場合、求人条件と実際の労働環境がまったく異なっていたというトラブルも少なくないため、「就職前」段階での対策が不可欠となるだろう。(編集担当:久保田雄城)

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