遺伝子検査も活用 進化する予防医学
2014年11月26日 12:27
予防医学とは心身の健康増進と免疫力強化を図ることにより重大な疾病を未然に防ごうという新しい分野の医学である。日本人の三大死亡疾患とされるガン、心疾患、脳血管疾患は確かに近年次々と新しい治療方法が発見されてはいるが、それでも根本的な完治は難しい。だが、自分に合わせた方法で日々の生活習慣を正しく整えることが出来れば、大幅にこれらの病気の発症率を下げることが可能となるのだ。
最近になって予防医学に関し特に目覚しい進化を遂げているのが遺伝子検査事業である。簡単な検査で、生まれながらにして自分がどのような病気に対しリスクが高いのかを知ることができるため、特に健康に不安を抱える人が増加している団塊世代からの注目度が高い。
遺伝子検査によって分かるのは肥満特性、糖尿病発症リスク、高血圧発症リスク、血栓症発症リスク等、様々だ。もちろん検査によって自分の体の傾向が分かったとしても、それだけでは病気を防ぐことはできない。検査結果を基にして、何を重点に自分の生活を改めなければならないかを理解し実践する必要がある。
健康食品・サプリメント販売大手のファンケル<4921>が新たに遺伝子検査事業に参入したのも、単にリスクを認識させるだけでなく、その後のアフターフォローについても同社の持つノウハウや商品・サービスが生かせると判断したためだ。遺伝子検査とその結果に応じた健康食品の提案による相乗効果を狙う。これまではディー・エヌ・エー<2432>やヤフー<4689>といったネットインフラに強みを持つ企業が日本の遺伝子検査事業の先駆者となっていたが、ここにきていよいよ健康関連を本業とする企業がこの分野へと乗り込んできた格好だ。
また、遺伝子検査以外にも予防医学をテーマとした動きはたくさんの分野に見られる。
熊本県阿蘇郡に本社を持つ阿蘇ファームランドは「健康テーマパーク」・「ドクターリゾート」をコンセプトに、家族連れから高齢者まで幅広い年齢層に対し運動や食事、癒しといったヘルスケアサービスを提供している。
健康体験に特化したテーマパークは全国でも珍しいが、年間来場者数は約400万人にものぼることから、ただ楽しむだけではなく同時に健康にもなりたいというニーズは相当に高いことが伺える。
他にも高齢者向けフィットネスクラブが活況を呈し、カロリーや塩分量に配慮したヘルシー弁当の配達事業が利用者数を伸ばすなど健康関連・予防医学産業はその裾野を日々拡大している。これからは病気とは治すものではなく、防ぐもの。それが常識となる時代がやってくるのだろう。(編集担当:久保田雄城)