日銀、追加緩和で委員対立「可能な限り大規模」「コストや副作用に見合わない」

2014年11月25日 17:54

 日銀は25日、去る10月31日の金融政策決定会合における追加緩和決定時の議事要旨を公開した。追加緩和は、マネタリーベース(通貨供給量)や買入れ国債の大幅増加を柱としており、黒田東彦総裁ら9人の委員のうち、賛成5人、反対4人の僅差で決定された。議事要旨では、原油価格の下落が物価の下押し要因となり、デフレ脱却を遅らせるとの懸念が、緩和決定を急がせたことを裏付けている。また、追加緩和の実施に当たっては、デフレ脱却に向けた揺ぎない決意を示すため、「可能な限り大規模な対策が必要」とした。

 議事要旨によると、原油価格の下落は、長い目で見て日本経済にプラスではあるが、最近の大幅な下落は、消費税増税後の需要面での弱い動きと合わせ、短期的に物価の下押し要因になっているとの見方が多くの委員から出された。そうした下押し要因は、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換を遅延させるリスクが大きいと判断された。そのため、現在のタイミングで、追加的な緩和を行う必要性が示された。

 緩和実施に際しては、戦力の逐次投入と受け取られないよう、できるだけ大きい規模を目指すべきであるとの意見が出された。

 一方、現時点での追加緩和に慎重な見方も示された。先行き物価見通しに対するリスクが大きくなっているものの、「経済・物価の基本的な前向きのメカニズムは維持されており、現行の方針を継続することが適当」「追加的な金融緩和による効果は、それに伴うコストや副作用に見合わない」との意見が出された。さらに、複数の委員から「2%の物価安定目標は、中長期的に達成すべきものであり、『2年程度の短期間』に過度にこだわるべきでない」との考え方も示された。(記事:南条 誠・記事一覧を見る

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