10月の貿易収支も赤字 しかし輸出に回復傾向

2014年11月21日 11:46

 ずっと赤字が続いている貿易収支だが、しかし中東向けの自動車輸出などの影響により大幅にその赤字幅を減少させた。20日、財務省が10月の貿易統計速報を発表。それによれば、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は7099億円の赤字であった。これで貿易赤字は28ヶ月連続となる。しかし中東向けの自動車輸出が伸びたことや、原油安の影響により輸入の伸びがとどまったことなどから、貿易収支の赤字額は前年度月比35.5%ダウンとなった。

 輸出額は前年同月比9.6%アップの6兆6885億円であり、2ヶ月連続でのプラス。数量ベースでも前年同月比4.7%アップと、2ヶ月連続でのプラスとなった。品目別に見てみると、自動車が前年同月比6.2%アップ、船舶が前年同月比53.9%アップ、鉄鋼が前年同月比11.8%アップ。このうち自動車のアップには、中東向けの自動車輸出が大きく寄与している。サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)向けの自動車輸出は6.2%に拡大。そのほか、シンガポール向けの貨物船やタイ向けの鉄鋼も好調に推移した。

 そして輸入額は前年同月比2.7%アップの7兆3985億円であり、10月としては1979年以降で最高額となった。原子力発電所の稼働停止により火力発電向け燃料の液化天然ガス(LGN)の増加や、米アップルの「iPhone6」が発売されたことによる影響により中国からのスマートフォン(滝の携帯電話)輸入が増加したことなどが影響した。

 そして地域別に見てみると、アメリカ向けの輸出が前年同月比8.9%アップで、これで2ヶ月連続のプラス。また中国向けの輸出も2ヶ月連続でのプラス。前年同月比7.2%アップという結果であり、10月としては過去最大であった。欧州連合(EU)の輸出は前年同月比5.4%アップで、17ヶ月連続でのプラスとなった。

 まだまだ赤字状態が続いているとはいえ、円安が続くなか、海外での需要の回復により輸出に持ち直しの傾向が表れ始めている。今回の赤字減少幅35.5%ダウンは、赤字が続く10月までの28ヶ月間で最も大きい。これまでは14年5月の8.1%ダウンが最大であった。(編集担当:滝川幸平)

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