川崎重工、産業用で初の水素液化システムを開発 国産独自技術で日量5トンを処理

2014年11月19日 16:01

 川崎重工は19日、産業用としては初めてとなる水素液化システムを開発、液化試験を開始すると発表した。同システムは、純国産の独自技術で開発したもので、同社播磨工場(兵庫県播磨町)内の水素技術実証センターに設置され、1日当り約5トンの水素液化処理能力を有している。水素は“究極のクリーンエネルギー”と呼ばれ、家庭用燃料電池をはじめ、燃料電池自動車など、水素利用に大きな期待が寄せられている。そのカギを握るのが、水素の貯蔵・輸送に不可欠な液化システムであり、同社の技術には大きな関心が寄せられそうである。

 今回開発した水素液化システムは、水素液化機や、液化した水素を貯蔵する液化水素貯蔵タンクなどで構成されている。同システムには、川崎重工が保有する極低温物質のハンドリング技術や、高速回転機械の開発で培ったタービン技術などが活用されている。

 システムの仕組みは、圧縮した水素ガスを、冷凍サイクルで冷やされた水素と、液化機内で熱交換しながら冷却することで液化水素を製造する。このほど行った試運転で液化水素の製造が確認された。

 同社では、試運転の結果を踏まえ、今後、本格的な性能評価試験を実施する。性能評価試験では、水素液化システムの製品化に向けて、性能や信頼性、保守性などを確認するとともに、技術改良を重ね、より大型で高効率な液化システムの開発に取り組んでいくことにしている。
 
 水素は、将来のエネルギーの中心的役割を担うと期待されているが、水素を市場に大量導入するには、効率的な輸送・貯蔵システムの確立が欠かせない。水素は液化すると、体積が約800分の1になり、輸送・貯蔵が効率化される。

 同社は、将来の水素大量導入を見据え、液化水素運搬船や液化水素貯蔵タンクなど、液化水素と中心とする水素サプライチェーン(物流システム)づくりに積極的に取り組んでいる。(記事:南条 誠・記事一覧を見る

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