史上初めて彗星に着陸したフィラエ、予定していたミッションを完了し休眠

2014年11月18日 12:03

 欧州宇宙機関(ESA)は11月15日、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に着陸し、探査活動を行っていたフィラエについて、当初予定していたミッション目標を達成したと発表した。その後フィラエは、バッテリーの残量がなくなったため、休眠に入った。

 フィラエは11月12日17時35分(日本時間、以下同)に、母機である彗星探査機ロゼッタから分離され、約7時間をかけて彗星に向けて降下した。そして11月13日0時33分に彗星表面に到達した後バウンドし、2時26分にも再びバウンド、そして2時33分にようやく表面に落ち着いた。

 しかし、そこは岩に囲まれた、太陽からの光が当たりづらい場所であり、太陽電池による発電が十分にできず、フィラエの電力は徐々に減っていった。それでもフィラエは探査機器を立ち上げ、彗星の探査を開始した。

 また探査機内のフライホイールを回転させ、その反動で、より環境の良い場所へ移動させることも試みられた。その結果、機体は約4cm持ち上がり、35度ほど回転もした。しかし探査を続けるには不十分であった。

 そして探査機器からのデータを一通り送り終えた後、11月15日の9時36分に、フィラエとの通信が切れた。おそらく充電がなくなったために休眠状態に入ったものと思われる。彗星上での活動時間は約57時間であった。

 なお今後、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は徐々に太陽へ近付いていく。したがって、フィラエに当たる太陽光も多くなることから、目を覚ます可能性もあるという。母機であるロゼッタは、彗星の探査をし続けながら、フィラエからの信号も待ち続けることになる。

 ロゼッタ・ミッションのマネージャーを務めるESAのFred Jansen氏は「まるでジェットコースターのような驚異に満ちた日々を終え、私たちは彗星に史上初の軟着陸を成功させたときのことを思い出します。あの日はESAと他のパートナーにとって、まさに歴史的な瞬間でした。私たちは今後、ロゼッタから送られてくる科学データと、そしてフィラエが休眠から目覚めることを楽しみにしています」と述べている。

■Pioneering Philae completes main mission before hibernation / Rosetta / Space Science / Our Activities / ESA
http://www.esa.int/Our_Activities/Space_Science/Rosetta/Pioneering_Philae_completes_main_mission_before_hibernation

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