【コラム 山口利昭】改正景品表示法ガイドラインの公表と企業の内部統制への取り組み

2014年11月18日 12:02

【11月17日、さくらフィナンシャルニュース=東京】

 先週火曜日(11月11日)、消費者庁主催シンポにて、弊職が基調講演をさせていただきましたが、その際、消費者庁の方からも少しだけ説明がなされていたとおり、金曜日(11月14日)に不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の規定に基づく「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/guidelines.html)の成案が公表されました。

 事業者が商品・サービスの不適切な表示等により、国民の生命、身体、財産に危害を加えることがないよう、未然防止のための内部統制システムを構築しなければならないことが景表法7条2項によって規定されていますが、いよいよ12月1日から本規定が施行されることになるため、内部統制システムの構築のためのガイドラインが公表されたことになります。この7条2項ガイドラインの説明会が本日の東京を皮切りに、全国で開催されますが(私も12月10日の大阪会場を申し込んでいます)、すでに東京は全4回満席、大阪、愛知も11月分は満席ということで、その関心の高さがうかがえます。

 昨年9月2日のエントリー「内部統制への関心が再び高まる時代が到来」でも述べましたが、企業行動への規制の緩和、スリム行政(小さな政府化)が進む中で、効率的な行政規制を推進するためには企業の内部統制システム構築へのインセンティブを設定していくことが当然に必要となりますので、このような手法は、消費者庁だけでなく、今後は各行政機関でも多用されることになるかと思います。

 さらに、本日、参議院の消費者問題特別委員会において、課徴金制度を盛り込んだ景表法改正法案が審議されますので、衆議院解散前に同法案が参議院の本会議でも可決される可能性があります。そうなりますと、上記ガイドラインでも一部触れているように、法令違反の未然防止(事前規制対応)のための内部統制システムだけでなく、不適切表示の早期発見や危機対応(たとえば自主申告や自主返金)といった事後規制対応の内部統制システムの構築も喫緊の課題となります。事業者の方々にとっては、ますます改正景表法7条対策が求められることになりそうですね。

 いずれにしましても、この改正景表法7条による表示等の適正を確保するための内部統制を効率的・効果的に構築するためには、いくつかの重要なポイントがありますので(たとえば景表法だけでなく、今後改正が見込まれる別の法律との関係にも留意する等)、また追って当ブログでも個人的な意見を交えながら(ビジネス法務の視点から)解説をしていきたいと思っています。景表法は消費者法であると同時に、ビジネス法でもある、ということを肝に銘じておいがほうがよろしいかと。【了】

 山口利昭(やまぐちとしあき)/山口利昭法律事務所代表弁護士。大阪府立三国丘高校、大阪大学法学部卒業。大阪弁護士会所属(平成2年登録 司法修習所42期)。現在、株式会社ニッセンホールディングス、大東建託株式会社の社外取締役を務める。著書に『法の世界からみた会計監査 弁護士と会計士のわかりあえないミソを考える』 (同文館出版)がある。ブログ「ビジネス法務の部屋」(http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/)より、本人の許可を経て転載。

関連記事

最新記事