高齢者の雇用環境 大企業より中小企業が取り組み進む
2014年11月16日 17:19
厚生労働省の調査結果によると、65歳以上の高齢者が働く環境は、中小企業の方が整備されている状況が明らかになった。65歳以上の希望者全員が働けるのは、中小企業では7割以上に上ったのに対して大企業では半数程度。中小企業では70歳以上まで働けるとの回答も2割を占めたが、大企業では1割程度に留まっていた。
厚労省の2014年度「高年齢者の雇用状況」集計結果で明らかになった。調査は従業員31人以上の企業約14万社の状況についてまとめたもの。従業員31人~300人規模を「中小企業」、301人以上規模を「大企業」としている。
高年齢者雇用確保措置の実施状況では、雇用確保措置を「実施済み」の企業の割合は98.1%(対前年差5.8ポイント増加)とほぼ100%の企業が何らかの雇用措置を講じている。
措置内容の内訳は、「継続雇用制度の導入」が81.7%と最も高い。その他、「定年の引上げ」を行っている企業は15.6%、「定年制の廃止」を行っている企業は2.7%だった。
希望者全員が65歳以上まで働ける企業は103,586社(同8,505社増加)、割合は71.0%(同4.5ポイント増加)だった。
65歳以上まで働ける環境は中小企業の方が整備されている状況も分かった。中小企業では73.2%(同4.7ポイント増加)が65歳以上の希望者全員が働くことができると回答。これに対して大企業では51.9%(同3.0ポイント増加)と半数程度に留まっていた。
さらに、70歳以上まで働ける企業は27,740社(同1,747社増加)で、割合は19.0%(同0.8ポイント増加)と全体の2割を占めていた。こちらも中小企業の整備が進んでおり、19.8%(同0.8ポイント増加)が70歳以上まで働けると回答している。これに対し、大企業では11.8%(同0.8ポイント増加)と、中小企業の半数程度に留まっていた。
日本人の総人口が減少の局面に入った反面、高齢者の人口割合は増加している。すでに4人に1人が65歳以上の高齢者であり、近い将来には3人に1人の割合となる。高齢者の活用策を早めに講じなければ、大きな労働力の減少は避けて通れないだろう。(編集担当:横井楓)