上場企業2316社の平均年間給与は平均604万4000円に

2014年11月16日 17:29

 上場企業2316社の2014年3月期決算の平均年間給与は604万4000円(前年比5万8000円増)だった。株式会社東京商工リサーチの調査によると、調査を開始した2010年3月期以降、4年連続で増え、初めて平均年間給与が600万円を超えたという。安倍政権は賃金アップの方向性を打ち出している。しかし、人手不足から人材確保のため人件費アップ、円安による原材料、資材高などコストアップが企業収益に大きな影響を及ぼす懸念も出てきた。業種を問わず、「利益を伴う成長」が給与水準の上昇の大きなカギとなってくる。

 上場企業2316社のうち、平均年間給与が前年より増えたのは1451社(構成比62.6%、前年1220社)、減少が855社(同36.9%、同1085社)、横ばいが10社(同0.4%、同11社)だった。平均年間給与が「増加した企業」は前年より231社(18.9%)増加し、構成比は前年の52.6%から10.0ポイントアップした。大手企業を中心とした業績好転が牽引し、平均年間給与を押し上げた格好となった。一方、平均年間給与が減少した855社のうち、445社(構成比52.0%)は従業員を増加させた。人材採用を積極的に行ったことで、平均年間給与が下がったとみている。

 上場企業2316社の平均年間給与の増減率分布では、増加率10.0%未満が1352社(構成比58.3%、前年1,136社)で最多。次いで、減少率10.0%以下が793社(同34.2%、同1,004社)、増加率10.0%以上が109社(同4.7%、同95社)、減少率10.0%超が62社(同2.6%、同81社)の順だった。業績好転に伴い平均年間給与は増加しているが、増加率は10.0%未満が大半と、増加幅は僅かにとどまっている。

 業種別で平均年間給与が最も高かったのは、金融・保険業の693万9,000円で、最も低かったのは小売業の496万7000円だった。増減率では、金融・保険業が前年より3.1%増と最も大きかった。円高から円安への為替相場の変動、株価上昇により銀行・証券を中心に平均年間給与を押し上げた。一方、電気・ガス業(18社)が前年比6.3%減と唯一、前年を下回った。特に電力業では、原発停止が大きく響き、東京電力(前年比10.4%増)を除く10電気会社が前年を下回って前年比8.6%減となり、電気・ガス業の減少率を拡大させた。福島第一原子力発電所事故の復旧と賠償のために、政府が公的資金を導入した東京電力が684万4000円で、2年ぶりに前年(619万6000円)を上回った。震災以降、給与カットを行っていたが、年俸制を導入したことで平均年間給与が増加したとしている。

 平均年間給与の上位3社は、トップがフジサンケイグループの事業を統括する純粋持株会社のフジ・メディア・ホールディングスの1506万円。2位が東京放送ホールディングスの1499万円、3位が野村ホールディングスの1488万2000円の順。上位10位までに、放送は純粋持株会社や準キー局が5社、大手商社も伊藤忠商事1383万5000円、三菱商事1355万2000円がランクイン。また、前年17位だったM&A仲介企業の日本M&Aセンターが1412万円で、6位に大幅にランクアップした。(編集担当:慶尾六郎)

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