13年のアパレル市場、前年比101.4%も、数年後には市場縮小か

2014年11月14日 13:17

 矢野経済研究所が6日公表した2013年の国内アパレル総小売市場規模は、前年比101.4%の9兆2925億円となった。全体の6割を占める婦人服市場が、前年比101.4%の5兆8290億円、紳士服市場が同101.2%の2 兆5475億円、ベビー・子供服市場が同102.2%の9160億円となった。いずれの品目においても前年を上回り、堅調に推移している。ただ、14年は消費増税による実質的な賃金の減少で、消費マインドが冷え込んでおり、先行きは不透明だ。

 販売チャネルごとにみると、「百貨店」では全体的にマイナスとなった。百貨店業界では、都心の売上高が伸び、地方は縮小する「エリア格差」が明確になっている。各社は「都心旗艦店」に資本を集中させ、大型改装を実施しており、こうした効果が得られる都心では売上高が堅調に推移。訪日外国人によるブランド物の消費も、ビザ要件の緩和や円安効果で大幅に伸びている。一方、地方百貨店は厳しい状況が続く。

 大手スーパーなどの「量販店」は、近年、独自の機能性衣料やオリジナルブランドなどを積極展開している。既存ブランドのリニューアルも行い、TVCMなど販促活動を行ったものの、13年は振るわなかった。手頃な価格設定とともにファッション性を高めたが、「ミセス向け」とのイメージが払拭できず、若年層を取り込めなかった。

 ユニクロなど大手SPA(製造小売業)や、大手セレクトショップなどの「専門店」は好調だった。大手は好調な業績を背景に、積極的な出店を進める。駅構内や空港などに常設店を構えるなど、新業態の開発も進んでいる。今後も更なる成長が見込まれるだろう。

 アパレル市場の新たな動きとしては、ネット通販が拡大しているほか、大手アパレル、セレクトショップが自社運営の通販事業に注力する傾向がみられる。実店舗と通販のオムニチャネル戦略を積極展開していることから、ネット通販を中心に、今後も拡大する見込みだ。しかし、少子化により、アパレル市場の長期的な縮小は確実である。4年後の2018年には、現在より2400億円程度、市場規模が縮小すると見られている。(編集担当:北条かや)

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