【MotoGP最終戦】バレンシアGP M・マルケス勝利 年間13勝の新記録更新

2014年11月10日 16:05

 2014年11月9日、MotoGP第18戦、今季最終戦となるバレンシアGP決勝が行われた。最終戦の舞台はスペイン・バレンシアサーキット(リカルド・トルモ・サーキット)。2002年以降MotoGPの最終戦の舞台として定着し、例年10万人以上の観客が訪れる。

 全長は4,005m、ストレート長は650m。右コーナーが5つ、左コーナーは8つ。低速コーナーが中心で、MotoGPが行われるサーキットでは2番目に平均速度が遅い。テクニカルなサーキットで、抜き所が少なく、ライダーの技量とマシン性能の両方が問われる難コースだ。

 このバレンシアGPでは2014年間チャンピオンを獲得したマルク・マルケス(レプソルホンダ)に、年間13勝という年間最多勝利数記録の更新がかかっていた。だが、M・マルケスは予選で転倒して5番グリッド、2列目からのスタートなった。

 

 今季最終戦、予選でポールポジションを獲得したのはバレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)だった。V・ロッシのポールポジション獲得は最高峰クラス50回目、2010年以来だった。

 気温18℃、路面温度22℃、雲に日差しが遮られ、路面温度がやや低い状態で迎えた決勝。 絶好のスタートを決めてホールショットを決めたのは2番グリッドスタートのアンドレア・イアンノーネ(プラマックレーシング)だった。これに、同じく好スタートを決めたV・ロッシとM・マルケスが続く。スタート直後、雨がぽつぽつと降り始め天候予測と路面コンディションがやや難しくなったが、これによる大きな影響はなかった。

 レース序盤は4番手~7番手争いが激しく、ドゥカティのカル・クラッチローとアンドレア・ドビツィオーゾに加え、ダニ・ペドロサ(レプソルホンダ)、ホルヘ・ロレンソ(モビスターヤマハMotoGP)などが順位を目まぐるしく変える接戦となった。

 A・イアンノーネを先頭にV・ロッシ、M・マルケスが先頭集団を形成しレースを展開したが、10周目には3番手のM・マルケスがV・ロッシを抜いて2番手に浮上。そのままトップのA・イアンノーネに迫り、M・マルケスが11周目にトップに立った。

 また、12周目にはV・ロッシがA・イアンノーネを交わし2番手、ついで4番手につけていたD・ペドロサもA・イアンノーネを交わして3番手に浮上した。

 16周目5番手を走行し、ドゥカティワークスの2台とバトルを繰り広げていたA・イアンノーネがコースアウト。

 18周目には一度は再び雨が降り始め、雲行きが怪しくなった。

 今回、このレースの勝負の行方を大きく左右したのが不安定な天候だった。レース20周目、4~7番手争いに加わっていたJ・ロレンソとA・イアンノーネがピットインして雨用のマシンに乗り換えたが、これによって順位を大きく落とした。

 早めの判断で勝負に出たJ・ロレンソとA・イアンノーネだが、雨はすぐに止み、23周目、J・ロレンソはリタイアを決断。この時点でJ・ロレンソのポイントランキング3位(263ポイント)が決定した。

 レース終盤はトップを走るM・マルケス、2番手のV・ロッシとも着実で安定した走りを見せ、そのまま決着。

1位にM・マルケス、2位にV・ロッシ、3位にD・ペドロサという結果となった。

 

 V・ロッシは年間ポイントランキング2位(295ポイント)に、D・ペドロサが年間4位(246ポイント)となった。

 また、ドゥカティの2台が始終接戦を演じた4位争いはA・ドビツィオーゾが制し、5位にC・クラッチローが入った。

 なお、2015年の参戦を前にワイルドカードでバレンシアGPに臨んだスズキ(チームスズキMotoGP)だが、13周でリタイアという結果に終わっている。

 2014年、年間チャンピオンを手にしているM・マルケスだが、最終戦で優勝したことにより、最高峰クラス年間最多勝記録を13勝に更新した。

 また、Moto3クラスでは弟のアレックス・マルケス(エストリア・ガルシアO,O)が年間チャンピオンを獲得しており、史上初の兄弟同時チャンピオンという快挙を成し遂げた。

 最終戦を有終の美で飾ったM・マルケス。今季は開幕から10連勝と前半戦は向かいところ敵なしの強さを見せ、まさに王者に相応しい活躍を見せた。

 

 だが、今季後半はライバルたちの台頭も目立った。ヤマハのV・ロッシはシーズンを通して好調で、特に後半は上り調子だった。同じくヤマハのJ・ロレンソもシーズン前半こそ低迷したものの、後半は復調し上位に食い込んでいる。

 また、A・ドビツィオーゾ、C・クラッチロー、A・イアンノーネのドゥカティ勢もホンダ・ヤマハ勢に迫る躍進を見せている。今季は特例レギュレーションで参戦しているドゥカティだが、その差は確実に詰まってきているとみていいだろう。

 さらに、来シーズンはスズキやアプリリアのMotoGP参戦も決定しており、今後の勢力図が大きく変わる可能性もある。

 来季もまたM・マルケスが強さを見せるのか、それともV・ロッシやJ・ロレンソ、D・ペドロサといったライバルが奮起するのか、はたまた伏兵や期待の新鋭が番狂わせを起こすのか……。

 来季の状況はまだまだ見えてこないが、いずれにしても来季の開幕が今から楽しみで仕方ない。オフシーズンの開発状況やテストにも注目したいところだ。(編集担当:熊谷けい)

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