全国の地銀が共同で女性支援策 夫の転勤先で別の地銀に再雇用
2014年11月8日 20:01
全国の地方銀行が共同で、既婚女性行員のための支援策を立ち上げようとしていることが10月23日に分かった。これまでは、夫の転勤で引っ越しを余儀なくされた場合、妻である地方銀行の女性行員は仕事を辞めるしかなかった。しかし地銀同士で連携をとり、新住所にある別の地銀で働くことができる仕組みづくりが検討されている。安倍政権が成長戦略の一環として掲げる「女性活用」「女性活躍支援策」に基づき、女性の就労を促進させることが狙い。同時に銀行業界の人手不足解消と、優秀な人材の流出防止も目的に据えている。
取り組みに参加するのは全国地方銀行協会に加盟する64行で、発起人は千葉銀行<8331>(千葉市)、常陽銀行<8333>(水戸市)、東邦銀行<8346>(福島市)、みちのく銀行<8350>(青森市)の頭取らだ。「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」を発足させ、女性管理職登用、仕事と家庭を両立させるための子育て支援策などについて意見交換する。
中でも注目されるのは、夫の転勤で退職する女性行員を別の地銀で再雇用するための人材バンクの創設だ。労働人口が減少し続ける中、人手不足を補うために女性の社会参加は重要な課題となる。地元に根付いた経営が中心の地銀では、銀行の顔ともいうべき窓口業務や営業などに女性行員が多く活用されている。職務経験を積み高いスキルを持っている女性行員が結婚や出産によって離職するのを食い止めることは、人材育成の観点から見ても効率的だ。女性支援に向けて全国的に地銀同士が足並みを揃えることで、銀行業界全体の事業強化も期待される。人材バンクでは、別の地銀で働いたあとも、元の住所に戻ってきたときには復職を可能にするとしている。
しかし別の側面からみれば、女性が昇進できない旧態依然の仕組みを助長することにもなりかねない。勤続年数でキャリアが形成されることが多い日本では、転職を繰り返さざるをえない女性社員は不利な立場に立たされる。人材バンク創設にあたっては、別の地銀に移ってもキャリアを引き継ぐ制度を整えていくことが必要だろう。(編集担当:久保田雄城)