円安影響を受け、トヨタが業績予想を上方修正
2014年11月7日 16:26
予想を上回る円安の影響、また北アメリカでの自動車販売の好調さを追い風に、トヨタ自動車<7203>が2015年3月期連結決算(米国会計基準)の通期での業績予想を上方修正。その内容は最終利益2兆円という、過去最高を目指すものであった。
5日、トヨタ自動車は15年3月期連結決算の通期の業績予想を上方修正すると発表。それによれば、売上高を従来の予想よりも8000億円増やし26兆5000億円、営業利益を従来の予想よりも2000億円増やし2兆5000億円、最終利益を従来の予想よりも2200億円増やし2兆円とするとした。この予想が実現されれば、売上高、営業利益、最終利益ともにいずれも過去最高を更新することとなる。
こうしたトヨタ自動車の強気の姿勢の背景には、予想を上回る円安の影響がある。トヨタ自動車は業績予想の上方修正を行う上で、通期の想定レートを1ドル=101円から104円に見直している。しかしこのまま円安傾向が継続されれば、今回の修正に加えて、さらに上方修正を行う可能性も十分にある。
そして同日には、14年9月中間連結決算も発表され、それによれば売上高は前年同期比3.3%アップの12兆9455億円であり、営業利益は前年同期比7.7%アップの1兆3519億円という結果であった。円安影響により輸出や海外での販売の採算が改善されたことで、営業利益はリーマン・ショック発生前の07年9月中間連結決算の1兆2721億円を上回り、7年ぶりに中間連結決算期の過去最高を更新することとなった。4月に実施された消費税増税により国内での販売は低迷したものの、北アメリカでの好調さが全体を押し上げる形となった。また最終利益は前年同期比12.6%アップの1兆1268億円であった。
なお今回発表された上方修正において、国内販売台数(ダイハツ工業<7267>、日野自動車<7205>を含む)の予想については、従来の予想よりも2万台減らして219万台としている。しかし販売が好調な北アメリカの販売台数の予想に関しては、3万台増やして274万台とした。このまま円安影響と北アメリカでの販売好調の波に乗り、最終利益2兆円という大台を達成することができるかどうか?国内の自動車販売ではあまりいいニュースを聞かないだけに、このトヨタ自動車の予想が達成されれば、業界全体を盛り上げる活力となりそうだ。(編集担当:滝川幸平)