ルネサス、今年3回目となる早期退職者募集
2014年11月3日 08:11
経営再建中の大手半導体メーカーのルネサスエレクトロニクス<6723>が、さらなる経営合理化を進めるために、今年に入ってこれで3回目となる早期退職者の募集を行うと29日に発表した。今回募集される早期退職者の人数は1800人程度で、ルネサスエレクトロニクスや、その国内関連子会社で働く35歳以上の社員が対象となる。早期退職者に対しては退職金にさらに特別加算金が上乗せされるという。
ルネサスエレクトロニクスは、今回の早期退職者募集により、神奈川県や兵庫県など国内11ヶ所にある半導体設計や開発の拠点を、東京都や群馬県などの4ヶ所に集約させるという。こうしてルネサスエレクトロニクスが早期退職者の募集を行うのは、今年に入って3回目のこととなる。ルネサスエレクトロニクスは14年3月期まで最終赤字が続いており、これまでも経営を再建するために早期退職者の募集以外にも、工場の閉鎖や売却といった構造改革を進めてきていた。しかしそれらの効果だけではまだまだ経営再建への道のりは険しいものとみて、今回の今年3回目となる早期退職者の募集に踏み切った模様だ。今後さらに早期退職者の募集を行うかどうかについても、まだまだ追加的に行われる可能性があるとの見通しを示している。
ルネサスエレクトロニクスの経営は、円高影響や海外メーカーの台頭などにより悪化。人員削減や工場閉鎖・売却などの構造改革の効果もあり、14年9月中間連結決算では、最終損益が前年同期の128億円赤字から改善して351億円の黒字となった。また売上高も前年同期とほぼ横ならびの4169億円であり、営業利益は前年同期の2.4倍の505億円、経常利益は前年同期の3.5倍の490億円であった。
このように一定の改善傾向にあるルネサスエレクトロニクスの経営状態だが、しかしまだまだ同社が目標として掲げている「17年3月期に営業利益率10以上達成」までの道のりは遠い。そのため、今後も生産拠点の一部集約にともなう、早期退職者の募集などが行われる可能性は十分にあるといえる。(編集担当:滝川幸平)