深刻化する大気汚染 ついにPM0.5への対応も考えたスマートハウスが登場
2014年11月1日 21:55
大気汚染問題の深刻化が止まらない。11月にアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合の開催を控える中国北京市では11日、日本の環境基準値の約9倍にあたる1立方メートル当たり309マイクログラムにものぼるPM2.5を観測した。
さらに近年、中国ではPM2.5よりもさらに粒子が小さく、循環器系の疾患リスクの大きさも懸念されるPM0.5の存在が指摘されており、大気汚染が及ぼす健康被害問題は待ったなしの状況となっている。
もちろん、これは中国だけの問題ではない。環境省の発表によると、昨年11月から今年7月までの期間にPM2.5の大気中濃度が国の暫定指針値を超えた日が16道府県の延べ37地点で計9日観測されており、日本への影響も看過できない。環境省や外務省をはじめ、政府も対策を講じているが、住民レベルでの自衛意識も高まりをみせている。
このような状況の中、住宅にもついにPM2.5はもちろん、PM0.5への対応も考えた商品が登場した。パナホーム株式会社<1924>が10月から新発売している「エコ・コルディスII」だ。同社では、昨年4月より、大容量の太陽光発電ルーフと優れた省エネ性能で、ネット・ゼロ・エネルギーを超えるスマートハウス「エコ・コルディス」を発売しているが、今回の商品は、換気システムにおいて、0.3マイクロメートルの微小粒子を99.97パーセント除去する「HEPA(ヘパ)フィルター」を工業化住宅業界で初めて標準搭載したものだ。外気をベース空間である床下に取り込み、花粉やホコリなどを沈降作用で浄化し、さらにHEPAフィルターを通したきれいな空気を各居室に直接給気することで、安全で快適な空気環境を提供する。また、床下給気による地熱の活用と、基礎の内側まで断熱材を施した断熱仕様との組み合わせで冷暖房効率を高め、健やかな省エネ環境を実現している。
パナホームだけでなく、大手住宅メーカーのフラッグシップモデルクラスの住宅では太陽光発電設備やHEMSを導入したスマートハウスが標準装備になりつつある今、来年度中に予定されている消費税率の引き上げや、相続税等の税制改正なども控え、メーカー各社はより快適な住宅を提案することで他社との差別化を図ろうとしている。その大きな流れのキーワードとして、環境や自然の気候を上手く利用し、健康面にも配慮した「ウェルネス」という言葉がある。ウェルネスとは、世界保健機関(WHO)が国際的に提示した広義の健康感であるが、今後の住宅業界において、このウェルネスがエコやスマートに続くキーワードとして注目されそうだ。(編集担当:藤原伊織)