超小型モビリティは普及するか 国交省も導入支援へ
2014年11月1日 01:17
今、新たなカテゴリーの乗り物として超小型モビリティが密かに注目を集めつつある。日本社会の少子高齢化が進み、車のドライバーにも例外無く高齢化の波が迫る中、主に短距離の移動手段として超小型モビリティの導入効果が期待されているのだ。
超小型モビリティとは軽自動車よりも更にコンパクト電気自動車で、1人から2人程度が乗車出来る。取り回しのし易さから安全性も高く、高齢者の外出支援や送迎の支援にも繋がるとみられる。
エネルギー消費量は通常の自動車の約6分の1。普通車サイズの電気自動車と比べても半分程度だ。普及すれば産業界が頭を悩ましているCO2削減にも大きく寄与することになる。事実、政府の日本再生戦略において超小型モビリティを含む次世代自動車は「先導的中核プロジェクト」の一つに指定されている。
また、グローバルな意味での新たな市場創出も期待できる。既に高齢化社会のモデル国家とも呼べる日本において超小型モビリティの普及が成功すれば、それは即ち海外へと売り込むための強力なアイテムとなる。中国や韓国といった間も無く少子高齢化社会が訪れる隣国でも、超小型モビリティ市場が今後爆発的に拡大するという民間予測もあるのだ。
自動車メーカー各社もこの超小型モビリティの開発には積極的だ。スズキ<7269>やダイハツ<7262>、ホンダ<7267>は既にコンセプトカーを2011年の東京モーターショーで発表しており、日産<7201>も高松市などに同社の開発したニューモビリティコンセプトという車種を医療・介護向けとして試験導入している。また、トヨタ<7203>も負けじと超小型モビリティのリース展開を推進している。
国交省では今夏、地方公共団体や企業に対して「超小型モビリティの導入促進事業」の公募を行い、神奈川県の日産関連企業や愛知県安城市の省エネプロジェクトに対し支援を行うことを決定した。まずは超小型モビリティという存在を国民に広く理解してもらい、その後に公道をより手軽な手続きで走行可能にするための規制改革に着手する予定だ。
自動車産業は日進月歩でハイテク化の道を進んでいる。緊急時に自動でブレーキが掛かるシステムや、駐車を自動で行うシステム等、SFの世界であったような技術がどんどん実現されている。
これらの先進技術は超小型モビリティのメインターゲットである高齢ドライバーとも相性が良い。近所への買い物のため、超小型モビリティに「チョイ乗り」するお年寄りの姿をごく普通に見かける日もそう遠くはないのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)