長征二号丙ロケット、技術試験衛星「実践十一号08星」の打ち上げに成功

2014年10月28日 10:10

 中華人民共和国は10月27日、技術試験衛星「実践十一号08星」を搭載した長征二号丙ロケットの打ち上げに成功した。実践十一号シリーズの前号機「実践十一号07星」は、わずか1か月の9月28日に打ち上げられたばかり。また実践十一号08星は実践十一号の最後の衛星になるとされる。

 ロケットは、中国標準時2014年10月27日13時13分(日本時間2014年10月27日14時13分)、酒泉衛星発射センターの第2発射台から離昇した。その後、中国政府や中国国家航天局は「打ち上げは成功」と発表した。

 また米国の宇宙監視ネットワークは、この時間帯に新たな物体が2つ、軌道上に追加されたことを探知している。それによれば、2014-066Aは近地点高度687km、遠地点高度705km、傾斜角98.22度の軌道を、また2014-066Bは近地点高度673km、遠地点高度690km、傾斜角97.96度の軌道を周回している。おそらく2014-066Aが実践十一号08星、2014-066Bがロケットの第2段ではないかと推測される。

 中国政府の公式発表によれば、実践十一号08星は航天東方紅衛星有限公司によって製造された衛星で、宇宙空間での科学実験や、新しい技術の試験を行うとされる。しかし多くの専門家は、軍事目的の衛星であると見ており、おそらくは赤外線センサーでミサイルの発射などを検知する、早期警戒衛星ではないかとされる。

 実践十一号シリーズは2009年11月12日に1号機が打ち上げられ、今回で7機目となる。ただし2011年8月18日に打ち上げられた4号機は、ロケットが墜落し、打ち上げは失敗に終わっている。これまでに打ち上げに成功した7機は、今回とほぼ同じ高度、軌道傾斜角の軌道を回っており、おそらく編隊(コンステレーション)を組んでいるものと思われる。

 また中国航天科技集団公司(航天東方紅衛星有限公司の上位組織)が今年9月30日に発表したところによれば、今から1か月前に打ち上げられた前号機「実践十一号07星」と今回の実践十一号08星は同時に並行して打ち上げ準備が進められたとされ、また実践十一号08星が、実践十一号シリーズの衛星の最終号機になるとのことだ。今後、同様の衛星シリーズが造られるのか、だとすれば名前はどうなるかといった点は不明である。

 長征二号ロケットは、もともと返回式衛星(FSW)と呼ばれるフィルム回収式の偵察衛星を打ち上げる手段として、当時開発が進められていた大陸間弾道ミサイル「東風5」を基に造られた。

 最初に開発された機体である長征二号は2段式のロケットで、地球低軌道に2tの打ち上げ能力を持っていた。1974年11月5日に1号機の打ち上げを試みるも離昇20秒後に爆発、失敗に終わる。原因はジャイロからの信号を伝達するケーブルに問題があったためと記録されている。

 その後、改修を施した長征二号甲が登場した。長征二号甲は基本的に長征二号と同じ機体だが、長征二号の失敗の原因となったケーブル部に手が加えられている。1975年11月26日に1号機が打ち上げに成功し、FSWを軌道に乗せた。その後1978年1月26日までに全3機が打ち上げられた後、引退した。

 またその後、打ち上げ能力を高めた長征二号丙が登場した。見た目は長征二号、長征二号甲と似ているが、改良により、地球低軌道への打ち上げ能力が2.4tにまで向上している。FSWなどの他、イリジウム衛星など他国の商業衛星を打ち上げるロケットとしても使われ、固体ロケットの第3段を装備した構成や、また近年は打ち上げ能力を4tまで高めた改良型も登場した。1982年9月9日に初飛行し、現在も運用されている。

■我国成功发射实践十一号08星_图片_新闻_中国政府网
http://www.gov.cn/xinwen/2014-10/27/content_2771127.htm

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