原発再稼働は本当に国民のためなのか?
2014年10月26日 23:20
鹿児島県薩摩川内市にある九州電力<9508>の川内(せんだい)原子力発電所が注目を集めている。9月に新しい規制基準に合格し、再稼働に向けた地元の同意手続きが進んでいる。小渕前経産相の辞任を受け後任に就任した宮沢氏も原発再稼働を進めていくことを就任の会見で明言した。政府は、再稼働を目指しているが、再稼働のためには地元住民の理解が必要。住民が理解することは困難を極めているため、宮沢経産相が川内原発を再稼働する必要性を直接説明する模様だ。11月上旬にも現地を訪問する予定とされている。
これまで、10月9日から20日まで、新規制基準適合性審査に関する説明会が開催されてきた。薩摩川内市のほか、原発から半径30キロ圏内に位置する市町の5ヶ所にて行われた。
鹿児島県の要請を受けて、原子力規制庁職員が新しい規制基準に合格したことについて説明を行ったのだが、この説明会、質疑できた人が限定されたり、質疑は途中で打ち切られたり、審査結果に関するものに議論が絞られたり、住民の関心とのかい離も明らかになった。鹿児島県は県内5市町で実施した住民説明会のアンケート結果を発表。「良くなかった」と「あまり良くなかった」と回答した結果が50%近くに上った。この結果を受けて、県は追加の説明会を開催することを決めたほどだ。説明会は30キロ圏内にある日置市で予定され、内容としては、内閣府や県が避難計画を説明し、九州電力の担当者が安全対策を説明する。
しかし、再稼働に向けた手続きは着々と進んでいる。20日に薩摩川内市では、再稼働をめぐる市民からの陳情をめぐる特別委員会が市議会で開かれ、賛成する陳情が賛成多数で可決された。この後、どのように手続きが進むのか。市議会、市長、県の同意を経て、再稼働が可能になる。「年明けの見通し」といわれている。
小泉元総理は、あるイベントで、再稼働を進めている政府の方針や原発の安全基準が「世界一厳しい」ことに疑問を投げかけ、「日本には地震、津波、火山の噴火があり、原発をやってはいけない国だ」と発言。この言葉を国はどう受け止めるのだろうか。(編集担当:久保田雄城)