理研、無汗症を引き起こす原因遺伝子を発見

2014年10月24日 12:42

 理化学研究所の御子柴克彦チームリーダー・久恒智博研究員らによる研究グループは、先天性無汗症の原因遺伝子が2型イノシトール三リン酸(IP3)受容体を発現する遺伝子であることを明らかにした。

 汗は体温調整に重要な役割を果たしており、発汗作用が失われると、熱中症・めまい・意識障害などを起こすことがある。無汗症の原因として、これまでに汗腺の形成不全や交感神経の異常などが報告されているが、その他の原因により発生する無汗症は報告されていなかった。

 今回の研究では、パキスタンで特異な先天性無汗症を発症する家系を発見し、調査を行ったが、これまで無汗症の原因として報告されていた汗腺の形成不全や交感神経の異常は見られず、発汗の異常以外は健常者と変わらないことが分かった。そこで、同祖接合性マッピング法を用いて近親婚家系のDNAサンプルを詳細に調べたところ、2型IP3受容体を発現する遺伝子のDNA配列に変異が見つかった。実際に、この遺伝子を欠損したマウスで実験を行ったところ、野生型マウスに比べて指や手の平の汗の分泌量が少ないことが明らかになった。

 今後は、IP3受容体の活性を制御することで、無汗症や多汗症の治療法を確立することができると期待されている。

 なお、この内容は10月20日に「The Journal of Clinical Investigation」オンライン版に掲載された。

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