【日経平均】プラスはつかの間で先物売りに押され56円安
2014年10月23日 23:14
22日のNYダウは153ドル安で4日ぶりに反落。NASDAQは36ポイント安。消費者物価指数(CPI)は0.1%上昇で市場予測とほぼ同じで反応薄だったが、投資家をリスクオフさせたのは原油先物価格の下落と、カナダの首都オタワで起きた国会議事堂襲撃事件。外の戦没者慰霊碑前で撃たれた兵士1名が死亡し犯人も1名死亡。背景は調査中だが恐れていたテロが先進国の都市でも発生し終盤にかけて売りが優勢に。
主要企業の決算が続々発表され、前日発表のヤフーは「アリババ効果」に投資判断引き上げが相次ぎ4.5%上昇したが、ダウケミカルは市場予測を上回る増益でも1.3%下落。ボーイングは4.5%下落で航空大手も軒並み安で、13年たってもテロが起きると「9.11」がフラッシュバックしてしまうウォール街の哀しみ。エネルギー関連も軒並み安。23日朝方の為替レートはドル円が107円前半、ユーロ円が135円台半ばでユーロが前日よりも安くなっていた。
CME先物清算値は15110円。今週は日替わり全面高、全面安の日経平均は101.99円安の15093.78円で始まる。TOPIXもマイナスで開始。大台を割ることはなく午前9時台前半はおおむね15050~15100円のレンジで、後半は15100円台に乗せて静かに推移する。NYダウ大幅安でもドル円の107円台が支え。10時を回ると再び15050~15100円のレンジで、上海も香港もマイナスで始まった。10時45分に中国の10月のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表されると日経平均は10時48分に15137円まで急伸する。発表数字は市場予測の50.2を上回る50.4だった。上海総合指数は瞬間プラスになり豪ドル円レートも上昇したが、すぐにクールダウン。日経平均も15120円を割った。それでも11時台は何度も高値を更新して15150円をオーバーし、11時29分に15174円の高値を取り前引けは15169円だった。
昼休みに円安が進行し、後場はほぼ前引け水準で再開後、上昇継続。たちまちプラスに浮上し15200円も突破して午後0時40分に15217円の高値をつけるがそこで折り返し。1時7分にも15232円の高値を取るがまた折り返して15200円も15150円も割り込んで急落するなど、なかなかプラスに定着できず安定しない。TOPIXも時々プラスにタッチするだけ。なかなか下げ止まらずに2時を回ると15100円も割り込む。為替と連動した典型的な先物売りパターンで、秋の嵐は通り過ぎても需給にはまだまだ魔物がすんでいる。とはいえ前日15092円の200日移動平均線が「昨日の敵は今日の友」でサポートラインに変じて反発し、2時台は徐々に15150円近くまで戻す。終値は10月3日以来の「2ケタ高安」56.81円安の15138.96円と反落した。日中値幅は173円で3ケタ。TOPIXは-4.07の1232.34。売買高は20億株だが、売買代金は1兆7730億円で12日ぶりに2兆円を割った。
値上がり銘柄は534、値下がり銘柄は1183で全体の64%を占めた。上昇9業種、下落24業種と今週初めて分かれる。プラスのセクター上位は海運、空運、鉱業、化学工業、電気・ガス、銀行など。マイナスのセクター下位はその他金融、石油・石炭、非鉄金属、証券、医薬品、ゴム製品などだった。
日経平均採用225種は値上がり82銘柄、値下がり137銘柄。プラス寄与度1位は信越化学<4063>で+4円、2位は塩野義製薬<4507>で+3円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-9円、2位は東京エレクトロン<8035>で-6円。
みずほ<8411>は0.7円高、三菱UFJ<8306>は1.1円高、三井住友FG<8316>は12円安。岐阜県の地銀の十六銀行<8356>は4~9月中間期の経常利益を87億円から162億円、純利益を56億円から109億円にそれぞれ上方修正し25円高で値上がり率6位に入った。オリックス<8591>は40.5円安で年初来安値を更新しその他金融セクターは業種別騰落率最下位。証券セクターも業種別騰落率30位と不振で、野村HD<8604>は3.3円安、大和証券G<8601>は7.8円安だった。
自動車大手は、トヨタ<7203>は11円高だったが、「フィット」などのリコールを発表したホンダ<7267>は46.5円安、富士重工<7270>は11円高、マツダ<7261>は12円安、日産<7201>は8.7円安と高安まちまち。三菱自動車<7211>は資材費などコスト削減効果で4~9月中間期の営業利益見通しを550億円から23%増の627億円に上方修正。純利益も430億円から30%増の609億円に上方修正し過去最高益。しかし売上高は従来計画を下回り、営業利益が市場予測の662億円を下回ったため30円安。渦中のタカタ<7312>はリコールが780万台に増え特損がさらに拡大する見込みと報じられ、三菱UFJ証券が目標株価を引き下げ104円安で年初来安値を更新し値下がり率7位。アメリカではホンダとともに訴訟を起こされ、提出した情報開示が不適切ではないかと連邦検察局も調査に入っている。
ソニー<6758>は、サードポイントが「9月に株を売却」と発表した。「物言う株主」は言うだけ言って逃げ足も速い。終値は7.5円安。日立<6501>は1.6円安、東芝<6502>は1.7円高、シャープ<6753>は3円安、NEC<6701>は1円高、富士通<6702>は9.9円安と電機大手も高安まちまち。電気機器セクターで特徴的だったのは1.5円高の三菱電機<6503>、1円高の富士電機<6504>、19円高の安川電機<6506>と、FA、ロボットなど設備投資関連の色彩が強い銘柄が上昇したこと。ファナック<6954>も売買代金7位で60円高だった。
フォスター電機<6794>は通期の営業利益見通しを50億円から12.9%増の68億円に上方修正し市場予測も上回って152円高で値上がり率4位。車載用スピーカーもヘッドセットも販売数が計画を上回った。三信電気<8150>は4~9月中間期の営業利益見通しを8.5億円から13億円、減益から増益に上方修正し39円高で値上がり率15位。それと反対に、新光電気工業<6967>は通期の営業利益見通しを98億円から35億円、増益から減益に下方修正し、「ネガティブサプライズ」だとSMBC日興証券とゴールドマンサックスが目標株価を引き下げ81円安で年初来安値を更新し値下がり率1位。日立マクセル<6810>は通期の経常利益見通しを81億円から49億円、増益から減益に下方修正するとSMBC日興証券が目標株価を引き下げ、126円安で上場来安値を更新し値下がり率5位になった。