上半期の貿易赤字は過去最高の5.4兆円 燃料輸入が増大、輸出はさえず
2014年10月22日 20:02
財務省は22日、9月及び今年度上半期(4-9月期)の貿易統計(速報、通関ベース)を発表した。それによると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は、9月は9,583億円の赤字だった。貿易赤字は27カ月連続であり、同月の赤字額としては過去最大である。その結果、上半期の貿易収支は5兆4,271億円の赤字となった。これは上半期としては過去最大の赤字幅であり、半期ベースで7期連続の赤字である。
9月分の貿易収支では、自動車や鉄鋼、船舶などの輸出が伸びた半面、液化天然ガスなどの輸入が高水準で推移した。
上半期ベースでは、輸出が、金属加工機械、自動車、科学光学機器などが増加し、輸出全体で1.7%のプラスと、3期連続増加した。ただ、輸出は、円安基調にもかかわらず、伸び率は小さい。これは、円高時代に、企業が生産拠点を海外に移した影響とみられている。輸入は、液化天然ガスをはじめ、石油製品など、原子力発電運転停止に伴う代替火力発電燃料が高水準で推移している。そのため、輸入全体では2.5%増加と、9期連続の増加となった。
上半期の地域別貿易収支では、米国向けの黒字額が前年同期比7.3%の減少と、6期ぶりに減少に転じた。自動車輸出などが減少する一方、穀物類などの輸入が大幅に増えたことが要因である。
EU向けでは、英国向け自動車などの輸出が増えたものの、液化天然ガス、肉類などの輸入が増加し、赤字幅が拡大した。
対アジアでは、金属加工機械、自動車などの輸出が増え、収支は2期ぶりの黒字となった。(記事:南条 誠・記事一覧を見る)