「ブラック企業大賞」の意義 14年度の大賞はヤマダ電機
2014年10月19日 14:13
先月、2014年の「ブラック企業大賞」が決定し、ヤマダ電機が受賞した。14年度のブラック企業大賞にノミネートされたのは11企業で、うち5企業で過労死などの最悪の事態が発生している。ブラック企業大賞は12年から始まり、今年で3年目。これまで、ワタミや東京電力が大賞となり、ブラック企業の実態を世間に周知してきた。13年には「ブラック企業」が新語・流行語大賞になるなど、世間の注目度は高まっている。
ブラック企業とは、長時間労働やパワーハラスメントなど劣悪な職場環境が当たり前となっている企業のことを指し、社員定着率が極端に低かったり、精神疾患にかかった社員が多く存在したりする。また残業代未払いや、偽装請負など、コンプライアンスが遵守されていない傾向もある。「労働基準法を守っていたら会社が潰れる」とは、14年のブラック企業大賞にノミネートされた企業の社長が発した言葉だ。
それでは、なぜブラック企業が誕生するのであろうか? マクロで見ると「失われた20年」と呼ばれる、日本の長期低迷が理由に挙げられる。低成長とデフレがセットになった経済環境では、企業が生き残る方法としてコストカットをする必要があった。しかし一方で、モノが売れないので価格は下げざるを得ないが、市場からは一定の質が要求をされた。そのため企業は、社員の人件費を削りながらも、低賃金で高負担の仕事に就かせ、利益を上げる構造を構築。そして、長時間労働や残業代の未払いが発生し、職場環境が悪化しブラック企業と呼ばれる会社が増産された。
ブラック企業と呼ばれる会社が、サービス業に多く見られるのも、この傾向を反映したものである。実際にブラック企業大賞にも、3年間ですき家を展開するゼンショーホールティングスやアパレルのクロスカンパニー、そしてすかいらーくなど数多くノミネートされている。
これまでのところ、ブラック企業大賞にノミネートされて訴えた企業はないという。企業としては訴えることで、逆にイメージダウンに繋がることが分かっているからだろう。一方でマスコミ報道では、広告のクライアントなどを考慮して、ブラック企業の実態を強く報道できないことがある。「ブラック企業大賞」が、今後ますます存在感を増すことで、日本の労働環境の改善に繋がっていくかもしれない。(編集担当:久保田雄城)