リアル・アマゾンは成功するか? Amazonがニューヨークに実店舗を出店予定 

2014年10月18日 22:49

 10月9日、米amazonが初のリアル店舗をニューヨークに出店する予定があることを、米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。場所はニューヨーク市マンハッタン、エンパイアステートビルの向かいの通りが見込まれているようだ。開店日に関しては、クリスマス・年末商戦を見込んだ12月後半ではないかとの見方が有力。店舗自体は小規模な倉庫型が予想され、通常のショッピングというよりも、ネット上で注文した商品の受け取りや返品・交換が中心になるだろうと言われている。

 もちろん完全な倉庫型ではなく、Amazon自社製品である電子書籍端末『Kindle』やタブレット型の『Kindle Fire』、スマートフォン『Fire』などの販売も検討されているようだ。特に主力商品である『Kindle』に関しては、これまで直営のリアル店舗が無かったため、未購入のユーザーにより強くアピールする場としても活用されることが予想される。そうした試みが成功すれば、今後リアル店舗を使って新作の自社製品がいち早くプレゼン・販売されるような可能性もあるかもしれない。

 しかし、こうしたハードウェアの実店舗展開をニューヨークで行うことは、Appleとの競争激化を避けては通れない。マンハッタンにはすでに5店舗のAppleストアが存在する。競争によってお互いにユーザーの訴求効果を高める結果となれば良いが、逆にAmazon実店舗がAppleブランドに簡単に跳ね返されるような事態になれば、「Amazonのリアル店舗は失敗に終わった」とのイメージをユーザーに与えかねない。その点にも注目すべきだろう。

 また、実店舗展開のコストが経営を圧迫する可能性もある。米Amazonが14年7月に発表した四半期決算(14年4~6月)では、営業損益1500万ドル(約16億円)という赤字を計上している。7~9月期も苦戦は続いているようで、この時期の実店舗展開が吉と出るか凶と出るかは判断が難しいところだろう。

 もちろんこの試みが成功すれば、ニューヨーク以外のアメリカ主要都市や、日本も含めた世界の主要都市に実店舗が出店されるかもしれない。その可能性の第一歩となるマンハッタンのリアル・アマゾン。開店後の状況も含め、注目が必要だ。(編集担当:久保田雄城)

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