NYダウは現実の景気の良さを見直す展開、日本は政府の動向を見守る=犬丸正寛の相場展望

2014年10月18日 17:25

 急落したNYダウは、先行き懸念に対し現実の景気の良さを見直す展開が予想されそうだ。日経平均も政府・日銀のなんらかの景気対策を期待する買いが徐々に強まるものとみられる。

 1ヶ月弱の短期間にNYダウが8.6%、日経平均が10.3%、それぞれ下落したことで政治の出番が予想されるからだ。

 NYダウはエボラ出血熱患者の拡大懸念に加え、ここに来て欧州及び日本経済の減速下降が強まっていることを心配している。欧州は一時の金融不安を乗り越え、次のステップの実体経済の下落リスクに直面している。金融不安の局面では、危険を察知したマネーはいち早く欧州から逃避した。欧州はなんとか金融不安は乗り越えたものの、今度はモノ、サービスの動きが低調となる実体経済の悪化に直面している。まさに、バブル崩壊後の日本と似た展開である。下手をすると欧州は、日本のように20数年のデフレに陥り、それが、マーケットが心配するアメリカ景気に影響する可能性が出てくるということだ。

 アメリカは10月で終る超金融緩和策のあと早い時期に金利引上げの可能性が強まっていたが、欧州、日本の経済実態やエボラ出血熱を考えると、まさかここで政策当局は金利引上げには動くまい。金利引上げは先延ばしされ、むしろ、アメリカ景気に陰りが出るようなら、金融緩和策復活の可能性だって予想される。むろん、シエールガスを持つアメリカが、簡単には欧州、日本の不振の影響を大きく受けるとは思い難い。

 一方、日本は4~6月GDPマイナス7.1%の落ち込みに対し、回復期待の言葉以外は特に策はなかった。改造内閣で期待の女性登用もうまく機能するどころか逆に足を引っ張っている。アベノミクスに陰りのみられることが日本株の下げを大きくしているといえる。

 このまま諦めてリップサービスだけにとどめるのか、あるいは景気下降のリスクを回避するために強力な策を打ち出すのか。一応は下げ止まっている日経平均は政府の姿勢を見守っている。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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