9月の首都圏マンション発売、震災時並みに減

2014年10月17日 11:03

 4月に実施された消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減の影響が、依然として日本の経済に暗い影を落とし続けている。「もうそろそろ、脱却をはたしただろう」という見方もなされるようになってきた今でも、まだその考えを「楽観的」と認識せざるをえない状況を、私たちに突きつけてくる。ここまで増税の影響が長引くと、それが日本の将来のために必要なことであるとわかっていつつも、2015年10月に今の8%から10%に引き上げられる予定の次の増税についても、その是非を再考しなければならないのではないかという思いが頭をよぎる。

 16日、不動産経済研究所が9月のマンション市場動向調査を発表。それによれば、首都圏の新築マンション発売戸数は前年同月比44.1%ダウンの3336戸であり、これで8ヶ月連続でのマイナスとなった。また契約戸数は2388戸で、月間契約率は12.0ポイントダウンし71.6%であった。次の10月の発売戸数は、3500戸前後ではないかとの見通しがなされている。

 8ヶ月連続で前年同月を下回った首都圏の新築マンション発売戸数だが、もちろんそのマイナスの要因は消費税増税前の駆け込み需要に伴う反動減だ。前年同月比で40%以上のマイナスとなるのは、これで2ヶ月連続のこととなる。しかしマンション契約率については、前年同月比71.6%で、70%を2ヶ月ぶりに上回ることとなった。契約率については、70%のラインが好不調の判断基準とされている。そのことから、不動産経済研究所はマンションの売れ行きそのものについては堅調であるとの見方をしている。

 また同日に発表された14年度上半期(4~9月)の首都圏の新築マンション販売戸数は、前年同期比32.1%ダウンの1万9944戸という結果で、この数字は東日本大震災が発生した11年度の前年同期比8.9%ダウンの1万9765戸以来となる、大きなマイナスであった。やはり上半期の結果に関しても、消費税増税の駆け込み需要が影響した模様だ。

 「反動減」という長くて暗いトンネルは、はたしてどこまで続くのか。その出口を示す光はかすかに見えているものの、もしかするとそれは考えているよりもずっと遠くにあるのかもしれない。(編集担当:滝川幸平)

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