LIB(リチウムイオン電池)やEDLC(電気二重層キャパシタ)の安定化を担う新製品、京都のロームグループから

2014年10月16日 21:16

 携帯電話やスマートフォンの普及によって、一般にも広く知られるようになったリチウムイオン電池(LIB)は、非水電解質二次電池のひとつ。LIBは小型軽量であることに加え、平均電圧が3.3Vから4.2Vと高電圧なことや、エネルギー密度が非常に高いなどの特徴を持つ。

 エネルギー密度の高いリチウムイオン電池は、産業や車載用途、蓄電装置などでの需要が拡大し、世界的にも加速度を増している。現在、LIBは携帯電話、ノート&タブレットPC、デジタルカメラなどの幅広い電子電気機器の電源として搭載され、自動車分野でもニッケル水素電池から移行が進んでいて、現在の世界市場は1兆円規模に成長したといわれる。

 しかしながら、その反面、LIBが過充電や過放電を起こさないようにセル電圧を監視・管理する保護回路が必須となる。

 このような状況に対応してロームグループのラピスセミコンダクタが過日、リチウムイオン電池監視システムの構成を最適化するLSI「ML5236」を発表した。これまでのリチウムイオン電池監視システムでは、電圧を加えるとスイッチがオフするPMOS FETを使うのが一般的だった。が、この分野でのPMOS FETは高価で種類が制限されるという短所があった。そこで今回の新製品では、電流の流れを制御するトランジスタにNMOS FETの使用を可能にした。そして、最大14直列セルまでのリチウムイオン電池の電圧、電流、温度、充電器・負荷接続を監視システムでチェックする。さらに、同製品は従来、複数のICなどに分散していた電池監視・保護機能を集約、システム全体を小型化できる。

 また、10月7日千葉・幕張メッセで開幕した「CEATEC JAPAN 2014」においてロームが、燃料電池自動車などに搭載するEDLC(電気二重層キャパシタ)の安定した充放電を担うセルバランスICを展示・紹介した。

 現在、EDLCは燃料電池自動車だけでなく、クルマのアイドリングストップなどでも回生したエネルギーを効率よく蓄電・放出する目的に合致して市場が拡大している。今回、ロームが開発した新型「BD14000EFV-C」は、初めてEDLCセルバランサーに必要な機能を1チップ化したことで、簡便にキャパシタの充放電をコントロールできるとしている。

 EDLCは、コンデンサと二次電池の中間に位置する蓄電装置だ。EDLCをLIBなどの二次電池と比較すると、パワー密度では優位だが、エネルギー密度(単位体積に蓄えられる電力量)は電池には及ばない。簡単に表現するとEDLCは「充放電の速度が速い、瞬発力の高い」小型電池と表現できる。また、百万回を超える充放電にも耐えるという二次電池にはない特長を持っている。

 今回、ロームが発表したセルバランスICは、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)、アイドリングストップ機構がついた一般的なガソリン車などの回生蓄電システムだけでなく、産業機械、建設機器の回生蓄電システムや瞬停装置などの電源安定化装置用途にも利用可能としている。(編集担当:吉田恒)

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