大手企業の年功序列制度廃止や見直しが加速
2014年10月12日 23:11
日立製作所<6501>は9月26日、管理職の社員に対する給与について、従来の年功序列制度を廃して、能力給制度を導入することを発表した。これまで多くの日本企業は個人の仕事の成果よりも、年齢や勤続年数を基準に給与を決定することが一般的だったが、グローバル化の波を受け、欧米などで主流の実力成果主義へと移行する流れが起こっている。
対象となるのは管理職の社員約1万1,000人だ。日立製作所ではこれまで、管理職の給与のうち70%を年功序列制度に基づいて設定し、残りの30%を能力や成果に対する評価として支給していた。しかし年功序列で給与を決定することを全廃していく方針で、今後は約950社のグループ会社の管理職にも拡大していき、一般社員にも適用を検討しているという。
能力給制度を重視する理由として、優秀な人材を国内外から集め国際競争力を高めるためとしている。中途採用で入社する人や外国人などは勤続年数が短いことを理由に、能力に見合った給与を出すことが難しかったが、実績や成果を基準に給与体系を組み直すことで、働くことへの意欲を高めることができる。年齢に関係なく能力を評価してもらえるということになれば、若い人がチャンレンジしやすい職場環境を作ることにも繋がるだろう。
こうした動きは他の企業でも起こっており、日産自動車<7201>はすでに管理職社員の年功序列による給与制度を廃止している。またソニー<6758>やパナソニック<6752>でも来年度から同様に給与体系を見直していく方針だ。
国際競争力を身につけないと経済発展は望めない現代において、日本企業も実力成果主義へと転換を迫られている。だが、デメリットの部分も気になる。能力給制度に偏ると、個人主義の傾向が強くなり、チームワークが高い日本企業の良さまでが失われてしまうのではないか。また成果に対する評価が不十分であった場合、労働意欲が逆に減退する可能性もある。やりがいを高め、仕事への意識を向上させるためにも、能力給制度の着地点を慎重に探る必要を感じる。(編集担当:久保田雄城)