イスラム国を目指した日本人学生、その真意はまだわからない
2014年10月10日 21:57
「イスラム国」参加のためシリアに渡航しようとした大学生が警視庁公安部に刑法の私戦予備および陰謀の疑いで事情聴取された。大学生は東京の書店に貼られた「求人 勤務地:シリア、詳細:店番まで」という貼り紙を見て渡航を決めたとされている。ちまたでは、「就職活動に失敗した」など動機について語ったとニュースに取り上げられているが、真意はわからない。
イスラム国とは何か。シリアやイラクで支配地域を広げているイスラム教の過激組織である。世界的に豊富な資金を集めた組織で、軍備やネットでの宣伝にもたけている。国際テロ組織アルカイダの流れをくんでいるが、決別したとも言われている。イラク、シリアなどの中東諸国は植民地時代、宗主国であるイギリスなどの線引きにより作られた国境を否定し、武力によるイスラム世界の統一を目指している。英国人捕虜を残虐な方法で殺害するなどでも知られている。
特に注目なのが、最近、欧米の若者をリクルートしていることだ。ネットなどを効果的に使っている。80か国以上から1万5000人以上の外国人が戦闘員としてイスラム国が活動するシリアに渡ったとされている。アメリカ人も100人以上いると推定されている。
シリアに渡航して、イスラム国に加わり戦闘員として働くことがなぜ罪になったのか。今回の事情聴取は刑法第93条を根拠に行われたようだ。条文には「外国に対して私的に戦闘行為をする目的で、その予備又は陰謀をした者は、3月以上5年以下の禁錮に処する」とある。
今回、国連が、テロ目的による渡航者や支援者についてを処罰するよう、各国に法の整備をすること決議したことが背景にある。警視庁によると、陰謀容疑を適用した強制捜査は初めであったが、国際的な動きに対応した捜査だと説明している。
イスラム国に対して、欧米の若者がなぜ魅かれのるのか、参加までするのか。そこを考えていかないと、今回の学生の行動もわからないだろう。単純な1つの理由で片づけるのは簡単だが。(編集担当:久保田雄城)