「暮らし向きは、景気悪くなった31.5% 生活にゆとりがない48.5% 」から見えるもの

2014年10月10日 17:36

 日本銀行が9月の「生活意識に関するアンケート調査」を発表した。それによると、増税の影響を除いても物価が1年前と比べて「上がった」と答えた人は80.4%に上った。6月に行った同調査と比較しても9.1%増えており、物価上昇の実感が拡大している。

 こうした結果を踏まえて、現在の暮らし向きに関する意識もあまり芳しいものではない。暮らし向きに「ゆとりがなくなってきた」との回答が、前回に比べて4.8ポイント増えて48.5%。増税前の3月の調査では、38.1%だったことを考慮すると、増税の影響が徐々に家計を苦しめている現状が明らかとなった。

 また景況感に関しては、2年3月の調査では「悪くなった」が19.6%だったのに対し、今回の調査では31.5%まで上昇。日本の経済成長に対する見方も49.2%が「より低い成長しか見込めない」と回答し、3月の調査の41.1%を上回る数字となった。

 景気判断の根拠については、「自分や家族の収入の状況から」との回答が最も多く、次いで「勤め先や自分の店の経営状況から」となっている。また現在の物価に対する実感の根拠については、「頻繁に購入する品目の価格の動向から」との回答が最も多く、次いで「ガソリン価格の動向をみて」、「定期的な支出項目の価格の動向から」といった回答が続く。

 10月は円安が進み原料が高騰したことが理由による値上げも相次いで行われている。今後、ますます景気の先行きに対する不安が広がっていくのは確実である。そんな中12月には2015年10月からの増税実施の最終判断を安倍首相が行う予定である。小泉政権下で73ヶ月に及んだ景気拡大局面では、一部の大企業のみ恩恵があったと言われている。また安倍内閣でも経団連による政治資金の提供が復活しており、アベノミクスの経済政策は大企業だけを見て行われているのではないかと穿った見方もできる。実感を伴った景気回復が待たれる。(編集担当:久保田雄城)

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