法科大学院存亡の危機 日本の法曹界のあり方とは
2014年10月8日 20:35
法科大学院が存亡の危機に立たされている。先日発表された2014年の司法試験合格率は過去最低の22.6%となった。合格者数も13年より239人減少し1,810人となり、ついに2,000人台を割り込んだ。その一方で、11年から実施されている司法試験予備試験経由の合格者数は最多の163名。合格率も3年連続で全法科大学院中、一番高い数字となっている。
司法制度改革のもと、04年に全国で74校設立された法科大学院。そもそも法科大学院の設立は、01年に司法制度改革審議会がまとめた「司法制度改革の三つの柱」の中で「司法制度を支える法曹の在り方」で提言されたことが発端だ。当時、法務省が発表した見解には、グローバル化と規制緩和の流れで日本社会も「事前規制型」から「事後監視・救済型」へとあり、その社会的なニーズに応えるために法曹界の人材が必要であるとした。日本の法曹界が抱える訴訟の審理時間の長さや、裁判にかかる費用の不透明さなどの問題を解決することも期待された。
しかし74校設立された法科大学院であるが、当初の計画では20~30校が適正な数とされていた。それではなぜここまで増えたのだろうか。それは司法制度改革審議会が01年に出した提言をもとに、法科大学院修了者の70~80%が新司法試験の合格者となるという数字から来ている。この時の想定数字から司法試験の合格者の実績がない大学や、法学部自体がない大学まで法科大学院を設立。その結果、受験者の母数が増えて合格率目標は実現せず、10年頃に合格者数を年間3,000人とする政府目標も現実のものとならなかった。
詰め込み型の受験から脱却し、法曹人口を増やす目的で始まった法科大学院制度。しかし法科大学院の志願者数はピーク時の04年度の72,800名から13年度は13,924名に激減し、法学部の人気も低下している。またゼロワン地域が残るものの、新司法試験合格後も事務所に入れなかったり、仕事がなかったりする弁護士が増えており法曹界を取り巻く問題は根深い。そんな中20校の法科大学院が募集を停止し、補助金のあり方の議論も活発になっている。これからどのように、法曹界の人材の質を確保するかが問われている。(編集担当:久保田雄城)