危険ドラッグ救急搬送数過去5年で急増 東京都など大都市中心に 

2014年10月8日 20:34

 危険ドラッグ使用の疑いによる救急搬送が4,469件にのぼることが総務省消防庁の発表で分かった。2009年1月から14年6月までの期間で、全国の消防本部が把握する救急活動記録から集計された。危険ドラッグを原因とする救急搬送件数が明らかにされたのは初めてのことだ。実態把握に役立てるためにも参考値として公表された。

 危険ドラッグは脱法ハーブという名で呼ばれていたが、今年の7月22日より危険性を明確にするために呼称が変更された。覚醒剤などの麻薬と同じ危険性を伴いながらも、法規制が追い付いていない状況で、現在も危険ドラッグによる事件や事故が絶えない。救急搬送件数は09年で30人、10年85人、11年602人とわずかな期間で急増し、さらに12年では1,785人まで増えた。13年は1,346人で、今年は1~6月までにすでに621人となっており、社会的な関心や問題意識が強くなっているのにも関わらず危険ドラッグの使用者減には未だ至っていない。

 地域別で見た場合、過去5年間の救急搬送の統計で最も多かったのが東京都で1,130人だった。次に多かったのが大阪府で536人、神奈川県512人、愛知県416人、埼玉県211人、福岡県202人となっており、大都市を中心に危険ドラッグが流通している様子が伺える。

 危険ドラッグを原因とする交通事故も多発しており、今年6月、東京・池袋で危険ドラッグを使用した男が車を暴走させ、通行人を巻き込み7人の死傷者を出すという事故が起きた。危険ドラッグを取り締まるために厚生労働省や警察庁は使用されている成分を薬物指定し規制を設けるものの、すぐに成分を一部変えた新種が出回ってしまうといういたちごっこに陥っている。

 そこで条例を制定し独自に規制対策を打ちだす自治体の動きが起こった。東京都は7月から条例を改正し、国の薬事法による規制に加えてより迅速な対策が可能となるよう、知事が指定薬物と見なした危険ドラッグの所持や使用に対して罰則規定を設けた。そのほか危険ドラッグを取り締まる条例を導入したのは愛知県、和歌山県、大阪府、鳥取県、徳島県など。中でも鳥取県は成分を特定できなくても健康被害や薬物作用をもたらす危険ドラッグの製造や販売、使用を禁止するとして全国で初めて包括的に危険ドラッグを規制した。危険ドラッグを根絶するためには、実効性のある規制でさらに対策を強化していく必要があるだろう。(編集担当:久保田雄城)

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