苦戦する企業が多数 新卒学生の内定率が回復基調

2014年10月8日 11:47

 マイナビが発表した、「2015年卒マイナビ大学生就職内定率調査」の結果で、8月末時点の内々定率は69.8%となることが分かった。15年卒の採用計画数は14年卒と比べ16%増となる見通しで、新卒の就職市場の雇用状況の回復が裏付けられた。

 理系・文系別にみると、理系男子が79.3%、理系の女子が78.9%となり、男女共に8割近い高い数値で、文系の男子でも67.5%、文系女子が61.6%となり6割を超える数値となった。また今後も活動を継続する学生の割合は46.2%で、理系で31.7%、文系では54.2%だった。

 一方で、ディスコが発表した「15年度・新卒採用に関する企業調査-内定動向調査」では新卒採用を行う企業の苦戦が浮き彫りとなった。内定辞退者に関して、「かなり増えた」「やや増えた」の合計が38.7%となり、昨年度と比較して9.7%上昇。一方で内定辞退者が「減った」と回答した企業は16.6%にとどまり、人材の確保の難しさが明らかとなった。実際に内定者の割合で見る「充足率」は、73.8%で前年調査の75.9%を下回る水準にとどまっている。中でも中小企業は64.9%となり、前年の71.9%より7%も低く、人材の確保に苦戦しているのが現状だ。

 16年卒の採用見込みでも、景気の先行きの見通しの良さから「増える」と回答した企業が23.2%となり、前年調査の17.3%より 5.9%も増加。業界別では「製造」「流通・商社」「IT」「サービス業など」の4業界で、2割以上が「増える」と回答した。企業の人出不足感から、今後も新卒市場では採用増が続くことが予想される。インターンシップや秋採用の実施など企業も学生の囲い込みに必死の様子だ。

 過去には就職氷河期などを生み出し、景気の動向に左右されやすい新卒の就職市場。一度レールから外れると戻ることの難しい日本の雇用慣習の中で、とりわけ重要な位置づけとなっている。「内定ブルー」で就職先に不安を覚え、内定を辞退する学生も出ているという。アベノミクスの景気回復に惑わされない、冷静な目も必要である。(編集担当:久保田雄城)

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