フレックスタイムの導入で苦慮している企業の実態とは

2014年10月8日 09:27

 労働政策研究・研修機構の裁量労働制等の労働時間制度に関する調査で、企業がフレックスタイムの導入で苦慮している実態が明らかになった。

 同調査で導入手続が煩雑で負担になっていると答えた企業は、専門業務型では「かなり感じた」「ある程度感じた」の合計が49.0%。また、フレックスタイム制の労働時間数の決定に「通常の所定労働時間」が用いられる割合が最も高く、専門業務型で47.6%。企画業務型では31.7%となった。「今までの実績から算出」する割合が、専門業務型で33.5%、企画業務型では20.0%となっていることからすると、所定時間の労働を求める企業が多いことが分かる。

 ただフレックスタイムの導入効果としては、「効率よく仕事を進めるように従業員の意識が変わった」と回答した企業が57.6%で最も高い数字となった。また、「従業員のモチベーションが向上した」が27.8%、「労働時間短縮につながった」が19.5%、「人件費の抑制につながった」が18.8%あるなど、フレックスタイム制導入の有用性を感じ企業が多いことも明らかとなっている。

 多様な人材を生かすことのできるフレックスタイム制。調査からは導入に苦慮する企業の姿が浮かび上がるが、同時に制度の有用性も証明されている。内閣府の調査では、2030年に日本の労働力人口は、現在の6,577万人より900万人少ない、5,683万人になると予測されている。

 一方で政府は、より多くの人材の労働市場の参入を促すために、フレックスタイム促進の法改正を検討している。現在フレックスタイム制を導入している企業の割合は5%に過ぎないが、今後拡大させ、柔軟性のある働き方ができる社会の実現を目指している。優秀な人材を囲い込むためにも、社員に合わせた働き方の実現は企業にとっても必要な施策である。今、企業の本気度が試されている。(編集担当:久保田雄城)

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